着物業界における二次流通の可能性とは?

新品、ユーズト市場の共生が市場の活性化を促す

最近のリサイクルの動向には、新品市場の企業も目を見張るようになってきている。今の日本では薄利多売の経営が主流であり、物が溢れているのが現状だ。アウトレット商品の人気もあり、今や二次流通市場も目を離せない。これからの流通には既成の枠を取り外した新たな試みも必要になってくるだろう。新品市場、ユースト市場、両者の側から流通市場を見る中村健一氏が、これからの二次流通を探る。
 
9月7日に池袋の東武百貨店本店9階に、直営として17店目の"たんす屋"がオープンした。19坪のスペースで今迄の店よりも、百貨店内という事で、ワングレードUPした店にした。順調なスタートであった。この9月は直江津、仙台、前橋と、FC3店舗加わり、10店舗になる。ただし、富士店は、オープン半年足らずで924日退店するので、月末で直営16FC10、合計26店舗という事になる。
 
同じ97日に、第一号店船橋でオープン一周年記念セールがスタートした。昨年、9月に、アメリカ屋靴店の退店スペースに、ユーズトのきものを並べて、一ケ月催事で始めたのが"たんす屋"一号店である。一年間で26店の"たんす屋"が生まれるとは、一年前には、予想していなかった。
 
一号店の船橋店は、昨年11月に正式な出店になったが、この一年の売上は約7000万円であった。20坪強の面積であるが、当初予想の500万円x12ケ月=6000万円を大きく上回ってくれた。この一店目の成功がその後の多店舗展開に大きく寄与してくれた事は言うまでもない。話が前後するが、"たんす屋"を経営する東京山喜()は、創業77年、私が三代目になる、呉服問屋である。第一回目の今回は、何故きもの業界のインサイダー企業が、二次流通を手がけたかを、書きたいと思う。
 
一般的には、ユーズトのマーケットは、アウトサイダーが、仕掛けていくものである。新品市場の企業は、それらの二次流通市場や業者を、無視したり、時には、敵視する事すらあった。私の考え方は、今迄の時代はともかく、これからは新品市場と、ユーズト市場は相互に、共生し、補完し、刺激し合い、市場全体を革新し、活性化してゆく為に、必要不可欠な、パートナーだと考えている。
 
きもの市場は、ピークの昭和50年には、2兆円市場といわれていたが、平成11年には7000億円程度迄落ち込んだ。本年3月号の、商業界では、将来2,300億円迄、縮小する事を予測している。もし、日本女性が、きものがきらいになって、きものが着たくなくなって、市場が、ピークの一割程度迄、縮少するならば、それもやむない事と思われる。
しかし、多くのアンケート調査からも明らかな通り、8割方の日本女性は、きものが好きで、きものが着たいと、思っているのだ。 しかし一方、この一年できものを着た事があると答えるのは、一割程度しかいない。好きで着たいのに実際は着てない。これが実態であり、この大きなギャップに、ビジネスチャンスが潜在している。
 
何故着ないのか? 答えは、価格が高い、自分で着られない、アフターケアが面倒という事である。きもの市場に於て、健全な二次流通を確立する事は、この潜在している"きものが好きで着たい"需要を顕在化させる為の良き手段と考えている由、あえて、インサイダー業者が、ユーズトのマーケットに参入した訳である。もう一つの側面は、きものほど最初から、リサイクル発想に基づいて作られた衣料はないと思われるほど、元来、染め替えや、仕立直しを前提に創られたガーメンツである由、歴史的には、非常にきもの古着市場は、活発であった。
 
ただ高度成長期に、大量生産、大量消費を是とし、本来の物を大切にし、使い廻す事が忘れられてしまった結果、たんすの中にぼう大な量のきものや帯が死蔵されたままになってしまった。資本主義経済は、今、正に世界的に限界を迎え、地球環境を考えるならば、21世紀は、循環型社会に移行せざるをえない状況にあると思われる。しかし、それは、本来、我々日本のお家芸であり、日本人の非常に根底にある価値観や倫理観にとても自然になじんでゆくものである。それを形にしたものが、"きもの"そのものであり、きもの文化である訳だ。"たんす屋"の使命は、明確に2つある。1つ目は、リサイクルきもので、きもの需要の掘野拡大をする事で、きもの全体のマーケットを再度活性する事。2つ目は、非常に身近で、ビジュアルなところでの静脈型ニュービジネスとして、循環型経済社会の到来を促進すると同時に、それが何であるかを、多くの人達に体感し、実感していただく事である。
 
私は、この事をもって、"たんす屋"フィロソフィーと呼んでいる。
 
大げさではあるが、ユーズトのアイテムを商材として扱う事、その根底に、独自の理念とフィロソフィーがあるか否か。この事が、実はその後の発展レベルを決定づけるものだと私は考えています。

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