たんす屋" in U.S.A
アメリカきもの市場を視察

アメリカできものの成功はあり得るのか

リサイクル企業の発展は著しく、アメリカ進出を果たした企業もある。その中で、たんす屋もアメリカ進出を考案中だ。日本の文化、着物がアメリカでどのくらい需要があるのか、同店代表中村健一氏が1週間のアメリカ視察の状況をレポートした。
 
10月20日〜26日逸一週間、アメリカ西海岸へ出張した。"たんす屋"の米国出店の準備である。ブック・オフやまんだらけのアメリカ出店は、すでに話題となっているが、果してリサイタルきものに、米国での市場は存在するのか? 今回でこの件での出張は3度目になるが、結論から言うと今回の出張で、良質な顕在市場を確認し、大いなる潜在市場を確信した。
 
12月上旬にロサンジェルスのLAマートに20坪程度のオフィスを出し、来年の1月にはコンベンションセンターでのギフトショーに出展。その後、サンタモニカ・プレース(ショッピングモール)への1号店出店を計画中である。戦後、多くのきもの業者がアメリカへ進出した。NewUsedも両方である。しかし、実際に成功事例はほとんどない。弊社に於ては、創業者である先々代喜代蔵が白生地の販路を海外にまで求めた。戦前の話であるが、その販路は満州、樺太、朝鮮、台湾、ハワイ、西海岸に及んだ。この戦略は、日本人の移民を市場として追っていった結果である。絹織物が統制になる開戦逸、この商いは大いに繁盛した。今流に言えばBtoB & BtoC通販である。創業者喜代蔵は、当時でも稀有な開拓者スピリッツを持ったベンチャーであったと思われる。
 
さて、今逸のきもの業者のアメリカ出店が何故成果に結びつかなかったか、又、それなのに今後、アメリカ市場に大きなポテンシャルを確信した理由は何か?
 
10月21日、22日の両日、LAの南、トーランスのシビックセンターで、ビンテージきものの即売会が開催された。TEXUBAという日 系米人経営の会社のイベントである。初日の朝9:00オープンであったが、私が8:30に会場に到着した時には、すでに数十人の列が出来ていた。その列はオープン時には200人近くにふくれ上がっていた。
 
オープンと同時に先を競って会場へ入った客は、入口で大型の洗濯カゴを手に、ラックにハンガーがけしたきものや帯、ハギレを片っぱしからカゴにつめ込んでいく。山盛になったカゴを、中には23つと、お預かりコーナーへ預け、一段落してからじっくりと中身の吟味に入る。日本では考えられない光景である。2日問で2,000人を超える来場者があり、90%を超える買上げ率があったと思われる。きものや帯の価値は、15$200$が中心で、中には数百ドルのものもあった。さて、問題はお客様の構成と、そのお買上げ目的である。
 
70%は白人、約15%は黒人、残りが日系人、日本人である。トーランスは日系企業が集中している為、日本人、日系人は相当多く住んでいる町である。しかし、ここで注目すべきは、この会場のお客様は基本はアメリカ人であるという事である。従来、日本の業者は多くの場合、ロサンジェルスならリトル・トーキョウ、サンフランシスコならジャパン・タウン等に出店し、日本人及び日系人を顧客の中心に考えた事が大きな成果に繋がらなかった原因ではないだろうか。次に重要な事は何の目的での購入であるかである。
 
これは私の推測の域では出ないが、50%の人はユーズトきものをガーメンツと見て、着る事を目的にしていると思われる。ホームウェアーとして、カジュアルとして、又はパーティー着やあるいはハロウインのコスチュームとして考えていると思う。ユーズトのきものは、30年〜50年前の日本女性の体形に合わせて仕立てられている。平均身長は150cmそこそこであろう。一方、現代のアメリカ人女性は平均でも165cmはあるであろう。寸法は問題ないのか? 鏡の前で自分でお気入りの着物をはおった女性が、ウットリしながらサイズもピッタリと言っている。おはしょりを作らなければ身丈は問題なし、裄はハーフスリーブと考えれば、これも全く問題なし。黒人女性が戦前のものと思われる留袖を着て、ビューティフルと感激していたが、私も本当によくにあっていると感動した。
次の30%はユーズトきものをファブリックと見て、キルトに代表されるグラフト素材として買っていた。アメリカでのキルト熱は日本の比ではない。着物の生地を中心に使ったキルトの本も出ている。残る20%はデザイナーの仕入れである。彼女達はユーズトきものをテキスタイルと見て、自分の個性的なデザインの部分として使う。あくまでデザイナーが自己表現の一つのパーツとしてチョイスしており、従来のきものリフォームとは全く違う。このTEXUBAの展示会は年2回、サンフランシスコ、ロサンジェルス、ニューヨークの順で開催されているそうで、各地に多くのファンを持っている。
 
今、"たんす屋"の課題の1つは、いかにして若い世代 (10代、20代、30)をまき込んでゆくかである。彼女らもきものは好きであるが、振袖とゆかた以外、なかなか接点が見つけにくいのが現状である。私は、サンタモニカの"たんす屋"アメリカ1号店がはやっている様子が、日本のマスコミに取り上げられ、ビバリーヒルズでは"ジーンズに羽織がトレンディー"などと、テレビや新聞雑誌で報道されれば、今逸と全く異なった角度で日本の若い消費者を、刺激出来ると大いに期待している。間口を広く、敷居を低く、である。どっから入ってきてくれても良い。先ずはきものと、きもの文化を身近に感じ親しんでもらう事が、先決ではないだろうか。

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