55周年に創業者の思いを込めた袋帯
帯に家系図を織り込み後世に伝える

 弊社は5月が本決算で、6月から第55期に入る。昭和36年(1961年)12月18日に先代の中村喜久蔵が会社設立をしたので、平成28年(2016年)12月18日に満55歳になる。これを記念して、商品を企画したいと考えた。
 たんす屋にとって一番強い商品は、なんと言っても袋帯だ。長所伸展の原則に則り、会社設立55周年記念商品を袋帯で販売価格5万5000円で作る事にした。そこで弊社が最も得意とする箔屋清兵衛の織元、陰山織物の社長に相談する事にしたのである。

奇遇のロイヤルファミリー繋がり

 昨年の11月に西陣にある老舗機屋の陰山織物を訪ねると、陰山弘平社長が大歓迎で迎えてくれた。氏は私の見る限り、今西陣で最も売れ筋の帯を作れるメーカ-のトップの一人だ。弊社との取引も大変永く、先代の中村喜久蔵も一方ならぬお世話になった。
 陰山社長は私を出迎え、開口一番、これが陰山家の家系図ですと一枚の紙を見せてくれた。そこには、陰山弘平社長の6代前までの家系図が書かれていたが、なんと6代前に湖るとそこには、第120代・仁孝天皇に行き当たった。第121代が孝明天皇で第122代が明治天皇だ。つまり、陰山社長は、仁孝天皇の玄孫の孫に当られると言う事になる。
 私はこれを見て深く感銘を受けたのであるが、それには訳がある。このコラムでも以前書かせて頂いた通り、昨年の10月に弊社の先代社長中村喜久蔵の三回忌の法要を京都で営んだ折に、創業者の生家、滋賀県長浜の中村本家に親戚を伴い訪問した。従来私共の祖先は近江源氏で、11 代前の広瀬兵庫までは記録があったのであるが、今回泊りがけで親戚10名を伴って長浜に行くのを機会に、広瀬兵庫をいま少し詳しく調べたくなりネットで検索した結果、広瀬兵庫研究家の広瀬まさのり氏に出会った。氏は広瀬兵庫の末喬で、40 年来その研究に没頭され、なんと広瀬兵庫から28代前が第56代清和天皇である事まで調べあげておられた。つまり私から数えて39代前が第56代清和天皇で、そこから93代すべての人の記録がでて来たわけである。
 今回記念の帯を企画製作して頂く陰山織物と、それを監修する弊社が期せずしてロイヤルファミリーとして繋がったのである。
 この記念商品の監修にあたり、私はあえて三代目中村喜代蔵を名乗った。それは残念ながら、昭和42年に53歳の若さで他界し、それ故に昭和29年生まれで創業者喜代蔵と面識の無い私が、創業者の思いを継ぎたいとの一心からだった。それから、私のこの記念の帯に込める思いを陰山社長に伝え、ようやく今年の4月に入り二柄の袋帯が出来上がった。配色も三配色作った。そして、帯の手先から、たれ先まで全て繰返しの無い全景柄を、無地場を無くし、全通で織り上げた。更にお太鼓と腹紋に本金箔を使い格調を高め、高貴さを演出する紫には貝紫を使用。プレミアム感満載の珠玉の逸品が完成した。
 これを来期55期は、全社を挙げて5万5000円で集中販売したいと考えている。そしてこの記念の袋帯に、もう一つのオプションをつけた。一般的に中無地になる約90センチの部分も、今回の全通全景では柄を織り込んだわけであるが、ロイヤルプレミアムバージョンだけは、この中無地にあたる部分に、弊社と陰山織物の浅からぬご縁を後世に伝えるべく、両家と天皇家の系図を一体にしたものを織り込んだ。当然ながら、帯を締めた場合は全く見えない部分だが、万世一系の125 代続く初代神武天皇から第125代の今上天皇に至る系図に、陰山ファミリ-と中村ファミリ-の祖の繋がりを織り込ませて頂いた。
 織り上がりの一本目は、私が既に購入し仕立て上げて母親に差上げた。「畏れ多くて勿体無くて締められない」と言っているが、84歳になる母親への良い母の日プレゼントになったと思う。そしていずれは我が家内が引き継いでくれると思っている。
 全てのご家庭には必ずそのファミリ-ヒストリーがあり、実は日本人の場合殆んどの人は、源氏か平氏に繋っがている。ただその繋がりを後世に正確に伝え続ける事は決して容易ではない。ことによると、プレミアムな正絹の袋帯の見えない部分に織り込んでおくは、それを有効にしてくれる方法の一つかも知れない。

袋帯は西陣のトップメーカー陰山織物が制作

1本5万5千円 売上目標3億円

 今回はお客様の家系図をお預かりして、そのお客様だけのオリジナルのファミリーヒストリーを織り込んだ逸品も10万円のオプション価格で受注出来る体制を整えた。
 来期55期は、この全通全景本金箔プレミアム袋帯、5万5000 円を出来れば5500 本販売し、3億円売上げたいと考えている。大きな目標であるが、123店舗で現在平均3・8人のスタッフがいるので、全スタッフが毎月1本販売してくれれば達成できる理屈である。
 陰山織物謹製、三代目中村喜代蔵監修のこの思いを込めた帯の魅力を、多くのお客様にお伝え出来れば望む成果に繋がると確信しているがいかがだろうか。

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