社内起業のヒントに「着物市場」語る
将来はリクルートと一緒に問題解決を

リクルート社員に市場の問題や現状などを語った

 リクルートホールディングスは昨年10月に上場した。創業者の江副氏の念願であり、かつて未公開株をめぐって江副氏が有罪判決を受け失脚の原因にもっなた上場である。現在、時価総額2兆円を超える大企業であり、今も成長を続けている。
 リクルートの特徴は、社会の負を解決する事での市場創造とマッチングであり、常に社内から新たな事業創造をし続けると言う創業者のDNAの承継ではないだろうか。
 今年初め頃、リクルートのライフスタイル領域の事業会社の方が弊社に訪問された。光原ゆきさんと言う方で、数年来の知り合いである。彼女から弊社の近況と着物業界の状況、更に着物市場のポテンシャルについて色々と質問を受けた。
 特に着物市場の可能性に関しては、その潜在需要は無尽蔵、と言う私の持論をしっかりとお話させて頂いた。光原さんからは、リクルートが着物の潜在需要の顕在化に取組めたら面白いですね、とのコメントを頂いた。
 しかし、その後しばらく音沙汰が無かったので2~3ヵ月後にメールでその後の進展具合をお聞きした。光原さんからは、リクルートが新たに取組むと面白い市場の候補の絞込みをしているので、暫らくお待ち下さい、とのご返事であった。今まで光原さんとお仕事をした実績はなかったが、リクルートと一緒に着物市場の負を解決すれば、非常に面白い市場創造が出来そうな予感が湧いてきた。

5つのマーケットが市場課題を解説

 程無くして、光原さんの再度の訪問を受けた。今回は具体的なリクエストで、7月30日に開かれるリクルートの社内ワークショップに、講師としての参加要請であった。「社会課題解決ワークショップMOMO HACK」と言うタイトルで、目的は新規事業コンテストに向けての勉強会である。今回は5つのマーケットに関して5人の講師がそれぞれの市場課題と現状を解説し、それをリクル-トの社員の方々が社内起業のヒントを得るために聞くといったものだ。
 因みに5つのフィールドは、①福祉/高齢者②教育/子ども③着物/日本文化④ダイバーシティ/女性⑤ アドボカシー/社会課題全般、である。
 ④ と⑤に関しては私も意味を知らなかったので少し調べた。ダイバーシティは多様性と言う意味で、今回は女性が社会参加する中での課題である。アドボカシーは権利擁護と言う意味で、今回は主に社会的マイノリティーの権利擁護だ。今回選んだ5つの分野のひとつに、着物を入れてい頂いた事を非常に嬉しく思った。
 当日は営業部の上村多葉を伴って行った。彼女は入社7年目で、5月末までたんす屋の旗艦店・池袋店の店長をしていた。しかし、6月から営業部に配属になり本社に戻ってきたので、極力同行させる様にしている。
 会場には、約40人ほどのリクルート社員さんと、外部からファシリテータ-(司会進行役)がひとり、そして私を含め5人の講師が参加した。そして5人の講師からそれぞれのマーケットに於ける現状と問題点、更にそのオリジナリティーな解決方法や具体的な取組の紹介が行われた。私の番は最後である。果たして20代中心の若い方々に、着物市場に関心を持って頂けるか甚だ疑問であった。
 私は、まず40年連続右肩下がりの現状と、しかしながら着物にまつわる面倒を解決できれば、その潜在需要は無尽蔵である事、更に現在SKP(下諏訪きものプロジェクト)で地方の観光協会、旅館組合、商工会議所と一体となり着物をツールにインバウンドの取り込みと地域活性に取組んでいる実態を紹介した。
 ファシリテーターのリ-ドで結果、講義を聞いて近しい問題意識を持った9つのチームができた。そして驚いた事に9つのチ-ムの中、3チームが着物に関するものであった。更にこの3チームは、全く異なる視点で着物を捉えていた。

着物スイッチをオンにするには

 ひとつ目のチームは、着物が大好きなメンバーで、既に着物スイッチがオンの女性3 人。彼女らの課題は、どうやって自分達が気兼ねなく着物を着て出かけられる環境が創れるのか、そしてどうすればもっと多くの女性の着物スイッチをオンに出来るのか、である。2つ目のチームは、着地型観光の視点から着物を国内外からの集客とリピートにどの様に役立てられるか。そして3つ目のチームは消え行く着物の作り手、伝統工芸の担い手をどの様に育成し、匠の技を継承するのかを課題にした。 私と上村でこの3チームに課題を聞きだしたり、マーケットの現状を教えたり、課題解決の方向性を示唆したりさせて頂いた。その後、ファシリテーターのリードで9つのチームの発表が行われ、約3時間のワークショップは終了した。 ただ限られた時間の中では、相互の話し込みが充分に取れなかったので、着物チームは8月5日に再度、個別のミーティングをリクルートの本社会議室でやる事になった。後日、再度十数名のメンバーと着物ミーティングをしっかりさせて頂き、更に最上階「空箱」での懇親会も大いに盛り上がった。近い将来、リクルートさんとの具体的な取組が始まる事を夢見ている。

*リサイクル通信*バックナンバー

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