第190回 小学校の卒業式は着物で
 

小さい寸法、派手すぎる色柄
リユース着物と袴は女子の卒業式にピッタリ

日本の通過儀礼はお宮参りに始まり、その次が七五三、そして成人式、大学の卒業式、結婚式と続く。年齢に換算すると0歳、3歳、5歳、7歳、20歳、22歳、そして結婚式の年齢はまちまちであろう。これらの晴れの日を着物で寿(ことほ)ぐのは日本の文化である。我々の着物ビジネスの半分は、これらの機会にお召し頂く晴れ着で構成されているといっても過言ではない。

通過儀礼に13年の長いスパン

 しかしこの年齢を見たときに、何か違和感を感じないだろうか。それは年齢の隔たりのバランスである。これらの通過儀礼の年齢の差異を並べると、3年、2年、2年、13年、2年、仮に25歳で結婚したとすれば5年となる。一目でこの13年の異常に長いスパンが目立つのである。  
 
更に七五三は数え年でする事があるので、数えの7歳は幼稚園の年長である。一方、成人式は一般的には地方自治体が主催するので、満20歳は通常ならば大学、又は短大、専門学校の2年生か社会人2年生である。つまり幼児から大人まで間が空くのだ。
 
この13年から14年の隔たりを埋めてくれるのが、京都では十三参りの習慣である。京都の子供達は皆、数え年の13歳の春に着物を着て、嵐山の虚空蔵さんに知恵を授かりにお参りをする。これが一般的に小学校を卒業した春に古くから行われてきた十三参りの習慣である。私の祖母も、叔母も、母親も、姉も、娘も皆振袖を肩上げしてもらい十三参りへ行った。数えの13歳は本裁ちの着物を着させてもらうのであるが、まだ大人ではないので肩上げをしてもらう。

因みに十三参りは桂川にかかる渡月橋を渡って虚空蔵さんにお参りをし、筆で漢字一文字書いてお納めして、大人になる知恵を授かって帰ってくる。しかし帰り道に渡月橋を渡り切るまで、何を言われても振り向いてはいけない。もしも振り向いてしまったら、せっかく授かった知恵を還してしまう事になると言われている。

この十三参りは七五三と成人式の間の13年、14年を埋めてくれれる絶好のイベントである。着物業界もこの十三参りを全国に広めようと相当の努力をして来た。浅草の浅草寺でも、十三参りののぼり物を立てたりしてプロモーションに協力して頂いているが、残念ながら地域のお寺に密着した風習は、それほど容易に全国区にはならない。

十三参りが定着すれば通過儀礼のスパンが3年、2年、2年、6年、7年、2年、+α年となり、異常に空いていた13年が上手く調整できる。 

営業日誌見て「これは来た!」 

ところが近年、着物業界に予想もしなかった嬉しい潮流が芽生えだしたのである。
 
最初に聞いたのは今から3〜4年前、宮城県気仙沼の知人からの報告だった。最近ここらでは小学生の卒業式に、女の子は着物に袴姿が大人気だという事だった。次に山形県村山市の知人からも同様の報告を聞いた。  
  
そんな中、たんす屋の営業日報でも"小学生の卒業式用に着物と袴が売れました!"との記述が散見される様になったのである。"これは来たぞ!!"、と手ごたえを感じ始めた。そこに先週京都の叔父から電話があり、私の従兄弟の娘さんが来春小学校を卒業するので着物と袴を見たいとのご連絡を頂いた。

私が38年前に大学を卒業する折に、着物に袴姿の女子大生は一人も見当たらなかったのに、そのわずか数年後、あっと言う間に圧倒的大多数の女子大生が卒業式は着物に袴姿になった。

残念ながら虚空蔵さんは日本津々浦々には存在しないので、京都の十三参りは全国に広まらなかった。だが、小学校の卒業式は日本中で毎年必ず行われている。もしこの卒業式で着物に椅姿がポピュラーになったとすれば、素晴しい通過儀礼になる。    

まず、卒業式を着物と袴姿で寿いでもらった記憶は、七五三の記憶とは違いはっきりと小学校6年生の子の記憶に刻まれる。

次にたんす屋にとって最もありがたい事は、小学校6年生の女子にピッタリのサイズの着物が沢山ある事だ。

リユースの着物の多くは、身長が140〜150センチ台の前半である。また今のお客様には派手すぎる色柄が多くある。つまり現代の成人女性には寸法が小さくて派手すぎる着物の宝庫であるが、小学校の卒業式で着て頂くには正にむいているのだ。  

そして寸法が小さくて派手すぎる着物の多くは、生地や染色加工良くとてもリーズナブルで、3000円〜1万円程度で購入できる。つまり子供服専門店で新品のよそ行きのブランド子供服を購入するよりも、たんす屋で着物と袴を揃えるほうが安く買える。更に後になっても、肩上げを戻したりすれば引き続きお召し頂けるというメリットがある。この事がお母様方にも急速に口コミで伝わっているようだ。   

少学生の卒業式に着物と袴姿が定着すれば、我々着物業界の未来のロイヤルカスタマーの種まきに必ずやなって行くと確信し、大きな期待を寄せてプロモーションに励んでいるが、いかがだろうか。

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