第191回 クロスメディア戦略
 

シニア層への広告アプローチは
「ネット⇔新聞」のクロス効果が有効

時代の変化に広告も対応

 最近、朝の通勤電車に乗っていて感じる事は、乗客のスマホと新聞の比率である。気がつけば10対1でスマホの圧勝だ。
 
還暦を過ぎた私はiPhoneの画面が見えづらく、もっばらiPadである。新聞も日経電子版に変えて久しく、先日ホテルで久しぶりに新聞を手で開いて読んでいると、結構疲れるものだと感じた。永年やってきた事なのに不思議なものである。 

当然ながら広告も変化に対応して行く事が重要だ。たんす屋のお客様は95%が女性であるが、年齢幅は10代から80代と非常に広域に及ぶ。因みにスタッフも10代から80代まで在籍している。 

たんす屋は基本的に、「着物の潜在需要は無尽蔵」と言う考えに基づいて仕事をしている。ですから常に広告の目的は顧客創造であり、更に言えば潜在需要の顕在化である。 

その中で従来は本部催事、百貨店催事、店頭催事で頻繁に新聞広告を中心にしてきた。特に年間4回の東西での本部催事や、その後の店頭催事では朝日新聞、読売新聞の全面カラー広告を打ってきた。 

更に昨年12月のリサイクル通信のこのコラムで書いた通り、昨年11月の東京での本部催事では、ネット広告の併用をスタートした。

このネット広告の効果が11月は新聞広告の1・58倍であったのが、5月の本部催事では2・27倍に拡大した。この事で社内では新聞広告不要論も出始めたが、当然の流れだと思っている。

効果減少でも新聞広告を継続

 そして色々考えた結果、あっさり新聞広告に見切りを付けるのではなく、当面は粘り強く継続をしようと考えている。その理由は二つある。 
 
一つ目は、たんす屋にとって大切なお客様が60代、70代、80代のシニア層に多くいる事である。当然ながら、この世代でもすでにネットに馴染んでいる方もいるが、やはり多くはテレビ、新聞を情報源にしている。ネット広告だけでは、これらシニア層にリーチ出来かねるのである。

二つ目は、実はネット広告を併用して以来徐々にではあるが、下がり続けていた新聞広告の効果が上昇に転じてきた事である。お陰様で本部催事の新規客の来場者数は飛躍的に増加した。   

しかし実際、一般的に考えて新聞広告の効果が上昇傾向になるのだろうか。弊社の広告代理店の担当者に聞くと、現在朝日新聞や読売新聞で全面カラー広告を定期的に打っている着物専門店は皆無だそうで、私も見たことはない。理由はおそらく効果が無いからだろう。そして講読者数も減少傾向から増加傾向に転じる事は、それほど容易とは思えない。

今のお客は引っ張りに弱い

 そこで私は新聞広告を継続する為に、その効果を上昇させる二つの具体的な施策を昨年の11月から実施した。 
 
一つ目はプッシュからプルへの変更である。プッシュとは"安いから来てくれ買ってくれ"広告である。具体的には「袋帯70%オフ!!」とか「振袖ズバリ1万円!!」、こんな感じだ。 

一方プルは、"お客様のお困りを解決さもらいます"的な広告である。具体的には「着物丸洗い1800円」とか「着物、帯、襦袢、羽織、コート、ゆかた何でも500円で下取します」、「55分50円着付け教室」、「きくちいまのテッパンコーデ講座」とかである。

つまりこれらは、着物のお手入れが大変とか、不要な着物で箪笥がいっぱいとか、着付けが出来ないとか、コーディネートがわからないとかのお困りを解決する為の具体的な提案である。今のお客様は押されるより引っぱりに弱いようだ。
 
二つ目は究極の施策であるが、新聞を購読していないお客様に新聞広告を読んでもらう為のものである。

それではどうやって新聞を購読していないお客様に、新聞広告を見てもらうかである。それは、店舗のSNSと本部のネット広告に、「更にお得情報は○月○日の朝日新聞全面カラー広告で」として、URLを貼り付けておくのである。 

実際、新聞購読者の減少に歯止めはかけられない。しかし、新聞を読まない人に新聞広告を見てもらう事は、ネット時代には比較的容易である。 

この様にネットから新聞広告にお客様を誘導する事で、非常に広告効果が短い新聞広告の効果を引き伸ばせるのである。更に、この新聞広告にネット広告のQRコードとURLを印刷しておき、逆に新聞広告からネット広告に誘導をかける。  

時代の潮流は間違いなくネットに向かっている。その事実をしっかりと踏まえた上で、自社に合った告知方法を開発して行く必要がある。私の考えは、顧客の年代層に幅のあるたんす屋にとっては、アナログとデジタル間のクロスメディア戦略が当面の間有効ではないかと考えている。    

新聞広告からネット広告にお客様を誘導し、逆にネット上から新聞広告にお客様を誘導する事に成功した時に、従来以上の広告効果が期待できる可能性が広がると予感しているが、いかがだろうか。

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