第197回 チーム2020
 

盛夏に向け夏素材の復刻が不可欠
ユニフォームは涼やかな未来の着物で

このコラムでも以前2回に渡って「東京2020オリンピック・パラリンピック」に関して書いた。 
 
1964年の東京オリンピックを、国立競技場やオリンピック選手村に程近い渋谷区幡代小学校の4年生時、目の当たりに体験した身として、2回目の地元開催のオリンピックをとても楽しみに格別の思いで迎えようとしている。つまり満10歳と満65歳で地元開催のオリンピックを見られるわけで、ありがたい話しである。

経済産業省が和裝振興 

経済産業省が主催し一昨年11月15日からスタートした和装振興協議会は、2020まで継続開催を前提にスタートした。これは明確に東京オリンピック開催を一つの契機に、和装市場を振興させようと言う協議会である。

昨年開催された第三回目の全体会議で、私は和装振興の為の6つの具体的施策を発表し、その中で「2020プロジェクト」の詳細提案をさせて頂いた。

次回5月29日の第四回全体会議までは商慣行分科会を作り、商慣行分科会で議論を深める事になった。商慣行分科会は「和装流通革新」の一つであり、私が発表した6つの具体的施策の一番目がこの商慣行分科会の内容であったので、私も商慣行分科会メンバーにお呼びがかかった。この和装流通革新も充分に議論を深める価値がある。 

しかし、私は東京オリンピックに向けて和装が果たせる役割を具体的に議論する分科会を期待していた。そこで、このタイミングで『チーム2020』を立上げる事にした。 

そのメンバーとして先ずお声かけしたのが、着物デザイナーの斉藤上太郎氏である。同氏の着物ショーはとても斬新で、着物の未来を予見できる様に感じた。斉藤氏は東京オリンピックの開会式で、日本選手団のユニフォームを涼やかな未来の着物にしたい、と言う私の考えに即座に賛同頂いた。

次に日本中の織物産地を巻き込んで、和装に限定せずにテキスタイルとして、夏素材の復刻と開発が不可欠と考えた。そこで和装振興協議会のメンバーで日本絹人繊織物工業会の渡邉隆夫会長にご相談したところ、前向きな回答を頂戴した。あとは和装振興協議会のメンバーを、数名発起人としてお声がけする予定である。

オリンピックと和装の関わり

私がイメージする東京オリンピックと和装振興の関わりは、下記の3つの様なものである。 
 
①日本選手団のユニフォームを作るのが一番のメインになるが、開会式の7月24日は盛夏である。よってこれから3年間、日本中の織物産地で、夏素材の復刻と開発を手がける事が和装振興のエンジンになる。そしてその夏素材を活かした物創りが、必ず新たな市場を創造してくれると確信している。

②会期中、メダルの贈呈セレモニーに欠かせないのが、メダルを運ぶコンパニオンだ。前回の東京オリンピックでは全員振袖姿であったが、今回は季節的に裏地のある袷の振袖は着られない。しかし既に白生地メーカーの社長で、純国産の生糸で織り上げた駒絽の白生地にこだわり、準備を進めている方がいる。メダル授与に涼やかに花を添える演出も和装で出来れば素晴しいだろう。

③そして閉会式だが、これは開会式と打って変わってお祭りムードとなる。ここはやはり東京染の浴衣の出番だと思う。さらに全参加国と地域をデザインした浴衣を用意し、参加選手や役員にプレゼントすれば大いに盛り上がるだろう。また、ボランティアのユニフォームも、東京染の浴衣と基平にするのも一興かもしれない。

前回の東京オリンピックは、一夜にして焦土と化した敗戦国日本の復活を世界にメッセージした。56年ぶりに開催される東京オリンピックは、スポーツの祭典を通して、世界的に訪れる大きなパラダイムチェンジの本質をメッセージする機会ではないだろうか。 

一言で表現すれば「日本へ回帰する時代」である。具体的には本物の時代、日本の世紀到来で、その本質は文明化する事の上位価値に文化が来る時代の幕開けである。

世界中の選手団ユニフォームも

『チーム2020』は東京オリンピックで、着物文化の持てる全ての可能性を表現する事で、日本文化の素晴しさと日本の価値観の本質を世界にメッセージしたいと考えている。

そして、『チーム2020』のリードのもと、これから3年間で復刻し開発された日本の夏素材で、日本中のファッション関係の専門学校が、日本選手団のユニフォームにとどまらず、世界中の選手団ユニフォームの開発を手がけ発表してはいかがだろうか。

現在はオフィシャルスポンサー企業の手前、東京オリンピック・パラリンピックのロゴや2020と言うワードの使用までレギュレーションが強く容易には使えない。しかしここから3年間、出来る限りオールジャパンで、やって来る東京オリンピックを盛り上げ支えて行く事が、この世紀のビッグイベントの成功の鍵を握っていると思う。

和装振興から生まれた『チーム2020』がその一翼を担っていければ嬉しい限りである。

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