第199回 軽井沢でISAKとかるちゃ出店
 

夢話と粘り強い情熱で実現
高校生が運営する日本初の着物店

4月15日に軽井沢プリンスアウトレットショッピングプラザで 「かるちゃ」というショップをISAK(インターチショナルスクール・オブ・アジア軽井沢)の高校生とオープンする計画を立てている。 

今までも京都大学の学生達や、中央大学の学生達とのショップ経営には実績がある。前者は京都で「ichi.man.ben」を約13年前に、後者は原宿で「Tokyo135°」を約10年前に立ち上げた。「ichi.man.ben」は現在直営店として、「Tokyo135°」は京都の振袖メーカーがフランチャイジーとして運営してくれている。 

Tokyo135°」は原宿以外にも渋谷、 新宿アルタ、池袋アルタ、横浜ビブレ、天王寺ミオ、三宮プラザ、天神ビブレと8店舗になり、たんす屋の若者向けのレーベルとして定着してきた。

しかし今回は高校生で、会社としても未経験のパートナーである。

きっかけは軽いノリ話

きっかけは昨年2月の事であるから、一年以上前になる。浅草にあるたんす屋梅園前店に臨店した折、狭い店舗がお客様でいっぱいだったので暫し外で店内の様子を見ていた。すると、そこにいた数名の高校生から「こんにちはー」と元気な挨拶をもらった。着物を着て歩いていると、見知らぬ人から声を掛けて頂く事はよくあるので、「こんにちはー」と返事を返すと、「おじさんは何をしている人?」と聞かれたので、「ここのお店の社長!」と答えた。すると「すごーい」と返事が返ってきた。「みんなはどこから来たの?」と問い返すと「なぞの緑の集団(全員緑色のジャージ姿)、軽井沢から来ました!」との事であった。そこに店からもう一人、緑色のお揃いのジャージを着た女子高生が買い物を終えて出てきた。「このおじさん、このお店の社長さんだって!」と店前で待っていた仲間が伝えると「軽井沢にもこんな気軽に着物を買えるお店があればいいな」と言うので「軽井沢に気軽に着物が買えるお店がないならみんなで作ればどう?」と聞くと「作りたい!!」と元気な答え。私も嬉しくなって「軽井沢で着物のお店を作りたい人」と質問すると全員が「はーい」と元気よく手をあげてくれた。 
 
ここまでは高校生の旅先でノリの良いおじさんとのその場限りの楽しい"戯れ言"でしょう。しかし私は、彼らに「本当にやりたかったらここにメールで連絡して下さい。」と言って名刺を渡したのである。 

話数か月かけて先生達を説得

しばらくすると彼らからメールが届いた。あれから彼らは軽井沢に帰り、みんなで何度かミーティングをしたそうである。その結果、是非自分達で着物の店を軽井沢でオープンして経営をしたいので、軽井沢に来て欲しい、といった内容であった。 

大学生とショップを立ち上げた時もそうだったが、先ずは学校と先生の許可が不可欠と考えている。まして未成年の高校生である。 

そこで、「学校と先生から許可はもらっていますか?」とメールで質間をした。ここから、学校内で先生から承認を得るのに、彼らも結構苦労したようである。 

その後何ヵ月か時間が空いたので、彼らも先生に話してNGを出されて諦めたのだろうと思っていた。すると昨年の夏過ぎに久しぶりのメールを貰った。

「今度こそ先生の許可をもらったので、軽井沢に来て欲しい」と言うものであった。 

もう高校生の心の中から"着物のお店を軽井沢でオープンする"と言う夢はとっくに消えて無くなっていると思い込んでいたので、彼ら彼女らの思いの強さにちょっと感動した。 

早速9月中旬に軽井沢に行き半年ぶりに再会をした。正直、一度会っただけだったので、代表としてメールをくれていた片岡陽さんが指定したお店で会うまで、名前から男子学生と思い込んでいた。お店ではもう一人、杉浦佳蕗さんも待っていてくれたのだが、二人とも高校3年生の女子であった。

日本力ルチャーを軽井沢から世界ヘ

彼女らの話では、浅草で会った時の7人がチームを作って企画を進捗させているそうで、既に出店候補地も考えていた。一つは旧軽井沢の商店街の中、もう一つは、軽井沢プリンスアウトレットショッピングプラザであった。 
 
両方の立地を一緒に検証したが、冬場の寒さを考えると後者に優位性があると言う結論に達した。その結果、地元の株式会社カーメルウォンツさんの経営している和雑貨ショップ「軽井沢・すみや」の中に5坪程度の着物ショップ「かるちゃ」の出店が決まった。「かるちゃ」のコンセプトは"軽井沢から日本のカルチャーを世界に発信する"だ。 

ISAKのヒントン先生、カーメルウォンツの土屋社長はじめ、多くの方々のご理解と温かい思いが、彼ら彼女らの夢を実現に導いてくれた。しかしオープンはゴールではなくスタートである。6月で卒業する3年生2人の思いを、2年生の5人がしっかりと引き継いでほしい。そして高校生が運営する日本初の着物ショップが着物文化を軽井沢から世界に発信して、実を結ぶ事を全力で見守って行きたいと思っている。

*リサイクル通信*バックナンバー

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【第199回 】軽井沢でISAKとかるちゃ出店
 2017.3.25 掲載
【第198回 】たんす屋塾賞
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【第197回 】チーム2020
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【第196回 】磯村みどりの着物遊び処たんす屋
 2016.12.25 掲載
【第195回 】ウランバートルのファッションショー
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【第194回 】成人式が変わる
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【第193回 】日本フランチャイズチェーン協会
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【第192回 】着物お手入れ得意店世界一を目指す
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【第182回 】TOKYO KIMONO STATION by Tansuya
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【第167回 】振袖戦略
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