たんす屋通信

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【たんす屋通信 Vol.15

【 巻頭対談 】
二十六世観世宗家 観世清和 × たんす屋社長 中村健一
 
今回のゲストは、能楽界を牽引し続ける二十六世観世宗家の観世清和様です。能楽は七百年近く受け継がれてきた現存する世界最古の舞台芸術です。国の重要無形文化財で、ユネスコの無形文化遺産にも指定されています。銀座シックス地下三階の観世能楽堂で観世宗家と対談する機会をいただきました。
 

日本が誇る伝統芸能の能楽、伝統衣装の着物の魅力を、一人でも多くの方に伝えていきたい。

 
中村 本日は、二十六世観世宗家の観世清和様にお時間をいただき大変光栄です。しかも、このような荘厳な能舞台での対談ということで幸甚に存じます。
観世 こちらこそ楽しみにしておりました。
中村 いつも客席から観させていただいておりますが、この神聖なひのき舞台にあげていただき感銘を受けています。
観世 ありがとうございます。舞台では能装束ですが、お稽古は着物を着て行います。私の跡を継ぐ息子の三郎太にも靴下とポロシャツでお稽古するのは駄目だと。足袋を履き着物を着てやらなくては駄目なのです。
中村 なぜ、お稽古も着物でなくてはならないのですか。
観世 着物を着ることで、お稽古へ気持ちの入り具合、集中の仕方が変わるからです。着物には、着る人の気持ちを変える不思議な魅力がございますね。
中村 本当にそう思います。本年の5月、銀座シックスの開業1周年記念に屋上で催された薪能では、シテを家元がつとめられた「土蜘蛛」で私の息子修一が間狂言のお役をさせていただいたことも畏れ多くも嬉しい偶然でした。
観世 ご子息は頑張っていますよ。将来有望で、これからが楽しみです。
能面をつけて演じておりますので、面の目の穴からの視野はとても狭いのですが、客席の様子は見えます。着物をお召しになり、襟を正し、背筋をまっすぐにご覧になられている方の姿を見ると、とても嬉しい気持ちになります。舞台に立っていまして、力をいただけるような気がいたします。
中村 観世能楽堂は国立能楽堂よりも立派だと伺っております。日本一ということは世界一の能楽堂を、これまでの渋谷区松濤から銀座シックスの地下三階に移されました。松濤は素晴らしい場所ですが、地下鉄連絡通路からつながる銀座シックスは交通アクセスが抜群です。お洒落なショップもたくさん入っています。
観世 銀座シックスに移転したことで、若い方にも足をお運びいただき、伝統芸能に親しんでもらえますと嬉しいですね。着物姿で能を鑑賞するお客様にも銀座駅から雨に濡れずにご来場いただけます。
中村 銀座シックスの前、この場所は百貨店の松坂屋でした。たんす屋は閉店売り尽くしセールに参加し、最後のお客様まです。お洒落なショップもたくさん入っています。
観世 銀座シックスに移転したことで、若い方にも足をお運びいただき、伝統芸能に親しんでもらえますと嬉しいですね。着物姿で能を鑑賞するお客様にも銀座駅から雨に濡れずにご来場いただけます。
中村 銀座シックスの前、この場所は百貨店の松坂屋でした。たんす屋は閉店売り尽くしセールに参加し、最後のお客様まで見送らせていただきました。また、銀座には「たんす屋銀座店」がございます。観世宗家と私どもたんす屋のご縁を感じます。
観世 観世家はもともと銀座に居を構えておりました。銀座の地に戻って参りましたのは百五十年ぶりです。釘を一本も使っていない総檜造りの能舞台を移築するのは大掛かりなことでした。銀座シックスの地下三階へとのお話をいただいた際、災害発生時の帰宅困難者を受け入れる避難場所にするとのことでしたので、社会貢献できるのであればとの思いもございました。舞台の裏には帰宅困難者千人三日分の食糧を備蓄してあるのです。
中村 観世宗家とのご縁のおかげで、来年二月二十四日から二十八日までの五日間、「たんす屋二十歳の記念祭」を開催させていただくことになりました。価値ある着物のご提案だけでなく、一般には上がることのできない観世能楽堂の舞台にお客様が立つことのできる着物ショーなど、多くのお客様に喜んでいただけるイベントを企画しています。
観世 銀座の観世能楽堂を知っていただく機会となる「たんす屋二十歳の記念祭」に期待しております。
中村 今年十二月、神田明神が創建千三百年奉祝記念事業ということで、境内に文化交流館を開設します。その地下一階には日本文化体験スペースがあり、私どもたんす屋が着物体験スペースを任されることになりました。お茶、お花などの体験コーナーもあります。若い方、外国の方に着物を着て日本文化を体験していただくことで、着物の魅力を伝えていきたいと考えています。
観世 それは、よいですね。私も若い方に着物を着て、能に限らず、日本の伝統芸能を楽しんでいただきたいと思っています。
中村 二○二○年の東京五輪にはさらに世界から多くの方がいらっしゃいます。銀座の観世能楽堂が世界中から脚光を浴びる日本伝統文化の発信拠点となるよう観世宗家と一緒にいろいろご提案させていただけますと幸いです。本日はお忙しいところをありがとうございました。
 

観世清和

かんぜ きよかず
昭和34年東京生まれ。平成2年 家元継承。室町時代の観阿弥、世阿弥の子孫、二十六世宗家として、現代の能楽界を牽引する。芸術選奨文部大臣新人賞受賞。フランス文化芸術勲章シュバリエ受章。平成24年度(第63回)芸術選奨文部科学大臣賞受賞。平成25年「第33回伝統文化ポーラ賞」大賞受賞。平成27年「紫綬褒章」受章。重要無形文化財「能楽」(総合認定)保持者。

中村健一

なかむらけんいち
1954年京都市生まれ。1979年慶應義塾大学経済学部卒業。老舗呉服問屋、東京山喜株式会社に入社。取締役京都支店長、常務取締役を歴任。1993年同社三代目社長に就任。1999年リユース着物「たんす屋」事業を立ち上げる。