2025年03月17日
【完全解説】八代目尾上菊五郎襲名へ!歴史・意味・影響を徹底分析

「八代目尾上菊五郎」誕生へ — 歌舞伎界が揺れる歴史的襲名! 伝統と革新を象徴する大名跡「尾上菊五郎」が、ついに次世代へと受け継がれようとしています。歌舞伎座団5月菊蔡、歌舞伎座6月大歌舞伎、7月大阪松竹座公演で襲名披露が行われます。
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観劇の前に、次期八代目尾上菊五郎となる尾上菊之助の実力と、その襲名が持つ意味とは、名門の歴史、襲名の重み、そしてこの襲名披露が歌舞伎界全体に与える影響をみっちり勉強しておきましょう。伝統文化の未来を占う大イベントの全貌を、ぜひご覧ください!

歌舞伎座『連獅子』狂言師右近=尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎、狂言師左近=尾上丑之助改め六代目尾上菊之助(撮影:岡本隆史)
目次
- 1.はじめに
1-1. 歌舞伎における「大名跡」とは
1-2. 「尾上菊五郎」という名跡の歴史と重み - 2.尾上菊五郎という名跡の系譜
2-1. 初代から現在の七代目までの流れ
2-2. 尾上菊五郎家が担ってきた役割 - 3.名跡襲名の伝統と意味
3-1. 襲名が持つ「継承」と「革新」の二面性
3-2. 名跡を継ぐことで生まれる責任と期待 - 4.現代における襲名の意義
4-1. 伝統芸能におけるブランド価値
4-2. 観客やメディアとの関係
4-3. 歌舞伎界の未来と襲名制度の意義 - 5.まとめ
5-1. 尾上菊五郎という名跡が持つ現代的な意味とは
5-2. 伝統と革新のバランス
5-3. 各界から期待される八代目襲名披露という大イベント
1. はじめに
1-1. 歌舞伎における「大名跡」とは
歌舞伎の世界では、長い歴史の中で特に名声を得た俳優の名を「名跡(みょうせき)」と呼びます。その中でも、特に格式が高く、代々継承される名前を「大名跡(おおみょうせき)」といいます。
これらの名跡は、単なる芸名ではなく、特定の芸風や役割、系統を象徴するものとして、襲名する者に大きな責任と期待が課されるのです。
例えば、「市川團十郎」「坂田藤十郎」「中村歌右衛門」などは、歌舞伎界の代表的な大名跡です。
「尾上菊五郎」(屋号:音羽屋)もその一つであり、江戸歌舞伎の中でも特に重要な名跡の一つとして位置づけられています。
1-2. 「尾上菊五郎」という名跡の歴史と重み
「尾上菊五郎」という名跡は、初代が18世紀に活躍して以来、代々受け継がれてきました。特に五代目尾上菊五郎(1844~1903年)は、「團菊左(だんきくざ)」の一角を担い、明治時代の歌舞伎を牽引した名優として知られています。

五代目尾上菊五郎
国立国会図書館「近代日本人の肖像」より
「團菊左」とは、市川團十郎、尾上菊五郎、そして初代市村羽左衛門(いちむらうざえもん)の三名を指し、当時の歌舞伎界を代表するスターでした。
五代目以降も、六代目、そして現在の七代目(尾上菊五郎・1942年生まれ)が名を継ぎ、歌舞伎の発展に貢献しています。
特に七代目は、新作歌舞伎や映像作品にも積極的に取り組み、伝統を守りつつ新しい試みにも挑戦してきました。このように、「尾上菊五郎」という名跡は、単なる名前ではなく、江戸歌舞伎の代表的な芸風や革新の精神を受け継ぐシンボルでもあるのです。
2. 尾上菊五郎という名跡の系譜
2-1. 初代から現在の七代目までの流れ
尾上菊五郎の名跡は、18世紀中頃に誕生し、江戸歌舞伎の発展とともに受け継がれてきました。
それぞれの代で個性と革新が加わり、現代まで続いています。
- 初代尾上菊五郎(生年不詳〜1786年)
初代はもともと坂東彦三郎(ばんどう ひこさぶろう)の名で活躍していましたが、尾上姓を名乗り、上方(関西)で培われた演技を江戸に持ち込みました。特に和事(やわらかく情緒豊かな演技)に優れ、後の尾上家の芸風の基礎を築きました。 - 二代目尾上菊五郎(1755〜1815年)
父の芸を受け継ぎ、より洗練された演技で人気を博しました。現在大河ドラマで話題の蔦屋重三郎が活躍したのもこの時代です。そして、この時期に「菊五郎劇団」の基盤が整えられ、尾上家が江戸歌舞伎の中心的存在となる足がかりを築きました。 - 三代目尾上菊五郎(1784〜1849年)
荒事(あらごと)と和事を融合させる演技で評価され、さまざまな役柄を演じるオールラウンダーとして名を馳せました。このころ、尾上家は市川家(市川團十郎)と並ぶ名門として確立されました。 - 四代目尾上菊五郎(1808〜1860年)
父の芸風を引き継ぎつつ、江戸の庶民の感情を巧みに表現する役者として活躍しました。歌舞伎の演目や演出の発展にも貢献し、よりリアリティのある演技を追求しました。 - 五代目尾上菊五郎(1844〜1903年)
「團菊左」の一角として、歌舞伎界に大きな影響を与えた名優です。五代目は、当時の新しい演出やリアルな演技を取り入れ、明治時代の観客に支持されました。市川團十郎と並び、近代歌舞伎の基盤を築いた功績は非常に大きいとされています。 - 六代目尾上菊五郎(1885〜1949年)
五代目の芸風を受け継ぎつつ、写実的な演技に磨きをかけました。特に「助六(すけろく)」などの当たり役を持ち、昭和初期の歌舞伎界を支えました。 - 七代目尾上菊五郎(1942年〜)
現在の七代目は、新作歌舞伎や映画・ドラマなどにも出演し、伝統と革新のバランスを取りながら活動を続けています。また、息子の尾上菊之助(おのえきくのすけ)も活躍しており、次世代への継承も進められていて、今回の八代目尾上菊五郎襲名披露へとつながっているのです。
2-2. 尾上菊五郎家が担ってきた役割
尾上菊五郎の名跡は、単なる役者の名前ではなく、江戸歌舞伎の発展とともに歩んできました。特に以下の3つの役割を果たしてきたといえます。
- 江戸歌舞伎の象徴としての存在
市川團十郎家が「荒事(あらごと)」を得意とする一方で、尾上菊五郎家は「和事(わごと)」や「世話物(せわもの)」を中心とした演技で人気を集めました。特に、江戸庶民の感情をリアルに表現することで、歌舞伎を身近な存在にしました。 - 歌舞伎界の革新者
代々の尾上菊五郎は、演技の新しい表現を模索し、時代に応じた歌舞伎の変革を試みてきました。五代目や七代目は、特に新作歌舞伎にも積極的に取り組み、古典にとらわれない柔軟な姿勢を示しました。 - 次世代の育成
尾上菊五郎家は、次世代の俳優の指導にも力を入れており、六代目や七代目は、多くの若手役者を育成しました。現在では、尾上菊之助が父・七代目の芸を受け継ぎながら、新たな試みに挑戦しています。
このように、尾上菊五郎の名跡は、単なる歴史的な継承ではなく、江戸歌舞伎の進化を象徴するものとしての役割を果たしてきたのです。

菅原伝授手習鑑 車引の場
https://www.touken-world-ukiyoe.jp/より
3. 名跡襲名の伝統と意味
3-1. 襲名が持つ「継承」と「革新」の二面性
歌舞伎の世界では、名跡の襲名は単なる「名前の継承」ではなく、その名に込められた芸の伝統や精神を受け継ぐことを意味します。
特に「尾上菊五郎」という大名跡は、代々の当主が築き上げてきた芸風や役割を次世代に引き継ぐ重要な儀式です。さらに、襲名には単なる継承だけでなく、新たな時代にふさわしい変革を求められる側面もあります。
歌舞伎は400年以上の歴史を持つ伝統芸能ですが、時代ごとに観客の求めるものが変化してきました。そのため、新たに名跡を継ぐ役者は、単に過去の名優の演技を踏襲するだけでなく、新しい時代の空気を取り入れながら、自らの芸を確立しなければなりません。
これは、歴代の尾上菊五郎が実践してきたことでもあり、五代目は近代演劇の要素を取り入れ、七代目は映像作品にも積極的に出演するなど、それぞれの時代に合わせた革新を試みています。
このように、襲名には「伝統を守る」という側面と、「新しい時代に適応する」という側面があり、常にバランスを取ることが求められます。
3-2. 名跡を継ぐことで生まれる責任と期待
尾上菊五郎という名跡を継ぐことは、単なる栄誉ではなく、大きな責任を伴います。この名跡が持つ重みを考えると、以下の3つの責任が挙げられます。
- 芸の継承
歴代の尾上菊五郎が築いてきた芸風を守り、次世代に伝えていくことが求められます。ですから、襲名した者は、先代の芸をしっかりと学び、再現する能力が求められるのです。 - 観客の期待に応えること
「尾上菊五郎」という名跡は、多くの観客に親しまれてきた名前です。さらに、歌舞伎ファンだけでなく、一般の観客やメディアからも注目されるため、そのプレッシャーは計り知れません。 - 歌舞伎界全体への影響
大名跡を継ぐことは、個人の問題にとどまらず、歌舞伎界全体にも影響を与えます。尾上菊五郎家は、市川團十郎家などと並ぶ名門であり、その動向は歌舞伎界の流れを左右することもあります。
このように、名跡を襲名することは、過去の名優の芸を受け継ぐだけでなく、現代の観客や歌舞伎界全体の期待に応え、新たな表現を模索する使命を担うことでもあります。

『菅原伝授手習鑑 車引』梅王丸=尾上丑之助改め六代目尾上菊之助(撮影:岡本隆史)
4. 現代における襲名の意義
4-1. 伝統芸能におけるブランド価値
現代において、歌舞伎は日本を代表する伝統芸能の一つであり、その中で大名跡の持つ「ブランド価値」は非常に重要です。「尾上菊五郎」という名跡は、江戸時代から続く歴史と格式を備えたブランドとして、多くの観客に認知されています。
このブランド価値は、観客動員や公演の成功に直結します。例えば、新たに名跡を襲名する際には、大規模な襲名披露興行が行われ、その公演は大きな注目を集めます。また、襲名によって新たな世代の役者が脚光を浴びる機会にもなります。特に、尾上菊五郎家の名跡は、江戸歌舞伎の伝統を象徴するものとして、国内外の歌舞伎ファンに広く知られています。
さらに、歌舞伎界においては、名跡が一種の「信用」でもあります。尾上菊五郎という名を継ぐ役者は、歴代の先人が築いた名声を背負い、それに見合った演技力と品格を備えていなければなりません。これは、単なる芸名の継承ではなく、一つの家柄や流派の伝統を継ぐことでもあり、歌舞伎界全体の価値を高める役割を果たします。
4-2. 観客やメディアとの関係
現代では、歌舞伎は伝統芸能であると同時に、エンターテインメントとしての側面も強くなっています。そのため、名跡襲名は単なる文化的な継承ではなく、観客やメディアとの関係を深める重要なイベントとして位置づけられています。
4-3. 歌舞伎界の未来と襲名制度の意義
名跡襲名の制度は、歌舞伎が400年以上の歴史を持つ中で、伝統を守りながら発展してきた大きな要因の一つです。現代においても、名跡の継承は、歌舞伎界の持続的な発展に欠かせない仕組みとなっています。
特に、名跡を継ぐことで役者に明確な目標が生まれ、芸の研鑽に励むモチベーションとなります。名跡があるからこそ、役者はその名にふさわしい技術と品格を備える努力を続けるのです。また、観客にとっても、名跡の存在は「誰がどの系統の芸を受け継いでいるのか」を理解する手がかりとなり、歌舞伎を楽しむうえでの指標になります。
尾上菊五郎の名跡も、時代に応じた変化を遂げながら、その伝統を守り続けています。現在の七代目が果たしてきた役割、そして次世代の尾上菊之助がどのようにこの名跡を受け継いでいくのか。それは、これからの歌舞伎界全体の未来にも大きな影響を与えるでしょう。

『京鹿子娘道成寺』白拍子花子=尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎(撮影:岡本隆史)
5. まとめ
5-1. 尾上菊五郎という名跡が持つ現代的な意味とは
尾上菊五郎という名跡は、江戸歌舞伎の伝統を象徴するだけでなく、時代ごとの革新を取り入れながら発展してきました。初代から七代目に至るまで、それぞれの時代に応じた芸風を築き、歌舞伎の歴史を支えてきました。
現代においては、名跡の持つブランド価値が高まり、襲名が単なる芸名の継承ではなく、歌舞伎全体の発展に関わる重要なイベントとなっています。観客やメディアとの関係も深まり、歌舞伎の魅力を広く伝える役割も担うようになりました。特に、七代目尾上菊五郎は映像作品や新作歌舞伎などにも積極的に関わり、伝統と革新のバランスを取りながら活動を続けています。
また、名跡襲名は、次世代の役者にとって大きな目標となり、芸の研鑽を促す制度としても機能しています。尾上菊五郎家の名跡は、今後も歌舞伎界の発展に大きな影響を与える存在であり続けるでしょう。
5-2. 伝統と革新のバランス
歌舞伎の世界では、伝統を守ることが重要視される一方で、時代に応じた変化も求められます。尾上菊五郎の名跡は、そのバランスを取る役割を担いながら、江戸歌舞伎の精神を現代に継承してきました。
今後も、尾上菊五郎の名跡がどのように受け継がれ、どのような新しい挑戦をしていくのかは、歌舞伎界全体の未来にも大きく関わるでしょう。伝統を重んじつつ、革新を恐れない姿勢こそが、名跡の持つ本当の価値なのかもしれません。
「尾上菊五郎」という名跡は、過去の遺産を守るものではなく、未来へ向けた挑戦の象徴である。 その精神は、これからも受け継がれていくことでしょう。
5-3. 各界から期待される八代目襲名披露という大イベント
尾上菊五郎という名跡の次期襲名は、八代目尾上菊五郎の誕生という形で、歌舞伎界のみならず日本の伝統文化全体にとって重要な出来事となるでしょう。
① 五代目・尾上菊之助への期待
次期八代目は、現在の五代目尾上菊之助です。彼は七代目尾上菊五郎と女優富司純子(寺島純子)の長男として生まれ、幼少期から歌舞伎界で活躍。古典のみならず、新作歌舞伎や海外公演にも積極的に挑戦し、幅広い演技力を培ってきました。
歌舞伎以外にも映画やドラマに出演し、一般層にも知名度が高いことから、襲名披露が多くの人々の関心を集めることは確実です。特に近年の歌舞伎界では、市川團十郎(十三代目)など同世代の役者が名跡を継いでおり、「次世代のリーダー」としての役割も期待されています。
② 襲名披露がもたらす影響
八代目襲名披露は、単なる継承イベントにとどまらず、歌舞伎界の世代交代や新たな観客層の獲得につながる重要な機会です。
- 歌舞伎界の世代交代
菊之助の襲名は、現代の若手役者たちとともに、歌舞伎界の新たな時代を築く象徴となるでしょう。 - 観客層の拡大
テレビや映画での活躍経験を活かし、歌舞伎を知らない層にも興味を持たせるきっかけになると期待されます。 - 国際的な影響
菊之助は海外公演にも積極的であり、八代目襲名後は、**「世界に向けた尾上菊五郎」**としての役割を担う可能性があります。
③ 未来への継承
襲名披露興行では、歴代の菊五郎が得意とした『京鹿子娘二人道成寺』や『弁天娘女男白浪』などが演じられます。市川團十郎や松本幸四郎など、歌舞伎界の大御所が集い、華やかな舞台が展開されるでしょう。
また、尾上菊之助自身が次世代の育成にも関心を持っていますし、今回は長男である尾上丑之助が「六代目尾上菊之助」を襲名します。
名跡の継承は過去の伝統を守るだけでなく、未来へとつなぐ使命も担っているのです。八代目尾上菊五郎の襲名披露は、歌舞伎界の未来を占う一大イベントとなる。伝統と革新の象徴として、その名跡はこれからも新たな歴史を刻み続けることになるでしょう。

『連獅子』親獅子の精=尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎、仔獅子の精=尾上丑之助改め六代目尾上菊之助(撮影:岡本隆史)
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