2025年09月12日
リサイクル着物で叶える!男のカジュアル着物デビュー完全攻略(選び方・着付け・ケアまで) 前編

この記事は、男性が3万円程度の予算でリサイクル着物(リユース着物)を気軽に普段着として楽しめるようになるための完全ガイドです。サイズ選びから着こなし、手入れまで、失敗なく着物ライフを始められるよう、前編・中編・後編の3部構成でトータルサポートします。
まず前編では「着物購入の基礎知識と準備」に焦点を当て、まず知っておくべき基本的な知識をお伝えします。最初に揃えるべきアイテム、予算別の具体的なセット例、安心できる購入先の選び方まで網羅し、着物デビュー前のあらゆる疑問や不安を解消します。
男性着物への憧れを手の届く現実に変える第一歩として、このガイドが皆様の着物ライフの羅針盤となれば幸いです。3万円から始めるリユース着物ライフを、自信を持ってスタートしていきましょう。
目次
前編
1. 本記事のゴール
1-1. この記事で得られること
1-2. 前提:この記事の想定シーン
1-3. 方針:入門でつまずかない3つの原則
1-4. 記事の読み方(ロードマップ)
2. まずはこれだけ揃えればOK
2-1. 各アイテムのポイント
2-2. “最初の買い方”セオリー
2-3. これだけチェック!
3. 予算別・入門スターターセット
3-1. まずは3万円セット(リユース×洗える素材)
3-2. 5万円セット(質と快適性を一段アップ)
3-3. 7〜8万円セット(羽織込みで“きちんと感”)
3-4. 10万円前後セット(長く使える“定番”を厳選)
4. どこで買う?入手先の選び方
4-1. リユース専門店(店舗)
4-2. オンライン(リユース着物店)
4-3. フリマアプリ・オークション
4-4. セット販売の賢い活用法
中編(近日公開)
5. 失敗しないサイズ選び(男着物・実践ガイド)
5-1. まず覚えるべき“5つの寸法”
5-2. 自分で測る(家でできるカンタン採寸)
5-3. 数値の“早見ヒント”と許容差
5-4. 商品ページの採寸“読み方”と“落とし穴”
5-5. 試着のチェック(鏡の前で“5点チェック”)
5-6. “裄出し”などお直しの可否を見極める
5-7. 長襦袢と羽織のサイズ関係
5-8. 体型別アドバイス
5-9. フリマ/個人出品での“採寸翻訳”
5-10. 最後のチェックリスト(保存版)
6. 似合う色・柄の選び方(最初は外さない)
6-1. まずは“外さない”ベースカラー3本柱
6-2. 柄は“小さく・細く・控えめ”から
6-3. 体型・印象別の“見え方調整”
6-4. 肌のトーン/髪色とのバランス(実用版)
6-5. 季節感の出し方(色・素材・小物の三点セット)
6-6. 3秒で決まる“色合わせの型”
6-7. 羽織を足すときの色設計
6-8. NGになりやすい組み合わせ(入門期)
6-9. ミニカプセル・ワードローブ(2着+帯2本で回す)
6-10. 買う前の色チェック術(オンラインで失敗しない)
7. 素材別のメリット・デメリット(洗える素材中心)
7-1. まずは早見表(実用優先)
7-2. 各素材の“入門視点”詳説
7-3. (番外)正絹の立ち位置
7-4. 入門者あるある“誤解”を先回りで解消
7-5. 素材を“写真だけ”で見分けるヒント(オンライン向け)
7-6. 素材別ケアの“これだけ”ポイント
7-7. 迷ったらこう選ぶ(入門の処方箋)
8. シーン別コーデの組み立て方
8-1. 普段着(カフェ・散歩・買い物)
8-2. ほんの少しフォーマルに(食事会・観劇・ギャラリー)
8-3. 夏(初夏〜盛夏)
8-4. 雨の日(旅行・通勤の悪天候)
8-5. 1日中歩く日(旅行・街歩き)
8-6. “写真映え”させる日の作り方(SNS・記念日)
8-7. さらにラフに寄せたい日(カフェ・作業)
8-8. 小物の足し算で“きちんと”に寄せる
8-9. すぐ真似できる“完成コーデ”4選(保存版)
8-10. 失敗を避けるチェック(出かける前の5秒)
後編(近日公開)
9. 買い方の手順(チェックリスト付き)
9-1. 最短ルート(10ステップ)
9-2. チャネル別フロー
9-3. 15分“仮試着”プロトコル(家でやる)
9-4. 到着後チェック(返品期限内に必ず)
9-5. 初回メンテの手順(洗える素材)
9-6. コピペOK:問い合わせテンプレ
9-7. 3万円カートの“電卓ルール”
9-8. 着物選びの落とし穴と対策
9-9. 直前5秒チェック(家を出る前)
10. お手入れ・保管
10-1. 洗える素材の基本プロトコル(長着・長襦袢)
10-2. “着た日〜翌日”の時短ルーティン(5分)
10-3. 汗・雨・においの緊急対応
10-4. 素材別・要点まとめ
10-5. 小物のお手入れ
10-6. 収納・保管(シーズンイン/オフ)
10-7. よくあるトラブルと解決
10-8. 旅行・出張の持ち運び術
10-9. “次もすぐ着られる”チェック(保存版)
11. よくあるQ&A
12. まとめ(最短で始めるコツの再確認)
12-1. 今週末から始める最短ルート(5ステップ)
12-2. 3万円スターターの配分テンプレ
12-3. 最初の1コーデ(保存版)
12-4. 素材の指針(迷ったらこれ)
12-5. “やらないこと”リスト(入門期の地雷)
12-6. 1ページ・チェックリスト(印刷推奨)
12-7. 次の一歩(“二枚目以降”の伸ばし方)
1. 本記事のゴール
最短距離で「失敗なく、快適に」男着物を始める—本記事はそのための実用ガイドです。
とくに3万円前後から10万円までで始められるリサイクル(中古)+洗える素材を軸に、買う場所・選び方・サイズ・コーデ・お手入れまでトータルガイドとして解説します。
1-1. この記事で得られること

- 最初に揃える“必要最小限セット”がわかる
長着(着物)・角帯・長襦袢・腰紐・伊達締め・足袋・草履……入門で本当に要るもの/無くてもよいものを線引きします。 - 予算別(3万円/5万円/7〜8万円/10万円)の具体構成がわかる
何にいくら配分すると満足度が上がるのかを、再現性のある形で提示します。大切なのは無理をせずに徐々にステップアップしながら長く着物を楽しむことだと思っています。 - “洗える素材”中心のメリット・デメリットが理解できます
ポリエステル・木綿・ウール・麻・ポリ混(+正絹の位置づけ)を、季節性やメンテのしやすさで比較します。確かに着物と言えば正絹が多いのは事実ですが、それ以外の素材も多いことを知っていただき、選択の幅を広げていただきたいと思います。 - リユース購入のチェックポイントがわかります
サイズ表の読み方、写真で見る着物の劣化サイン(テカり・アタリ・虫食い・ヤケ)、返品規定の確認など実務的に解説します。無駄な出費をしないためにも、着物の状態についての最低限の知識を身につけください。 - 自分の体型に合う“外さないサイズ感”がつかめます
「身丈」「裄」「前幅・後幅」の目安と調整余地(仕立て代=縫い代の見方)を、数字で把握できます。着物を粋に着こなすために大切な知識です。 - 最初から“それっぽく決まる色合わせ”のテンプレが手に入ります
濃色無地〜細縞ベースに、帯で差し色を足す安全策を例示。何事も基本が大事です。まずは落ち着いた色合い、柄でスタートしましょう。
1-2. 前提:この記事の想定シーン
- 街着(カジュアル)が中心:食事、買い物、観劇、旅行などのシーン向けです。
- 年間を通して着物で出かけることはできますが、最初の一着としては、春や秋に着られる裏地のない「単衣(ひとえ)」、または秋から冬、春先まで着られる裏地のある「袷(あわせ)」のように、幅広い季節に対応できるものをおすすめします。
- 単衣:裏地なしで軽い。主に春・初秋向け。
- 袷:裏地ありで保温性。秋冬〜早春向け。
- 単衣:裏地なしで軽い。主に春・初秋向け。
- フォーマル(礼装)は射程外:まずは日常で“自分で着て洗える”を最優先にします。
1-3. 方針:入門でつまずかないための3つの原則

せっかく着物を買ったのに、結局あまり着なくなってしまうのは避けたいもの。ここでは、着物ライフを長く楽しむために、入門時に押さえておくべき3つの大切な原則をご紹介します。
- 洗える素材を軸にする
自宅メンテナンスが可能=着る回数が増える→上達も早い。ポリエステルや木綿を基準に選びます。 - 濃色・無地〜細縞から始める
まずは濃色や無地、細縞からは締めれば、着回しがしやすく、帯や羽織を変えるだけで雰囲気を変えられます。そのため、コーディネートの難しさがぐっと下がります。 - “裄(ゆき)重視”でサイズを決める
肩幅〜腕の長さに合っているかが見た目の8割を支配します。リサイクル着物を選ぶさいには裄の合致を最優先にしましょう。

裄丈の適正値は腕の外側を手首のくるぶしまでを測ります
1-4. 記事の読み方(ロードマップ)
この記事を読み進めるための簡単なロードマップを示しておきます。
- 必要アイテム一覧でゴール像を掴む
- 予算別セットで自分の予算帯を決める
- 買う場所の特徴(店舗/オンライン/フリマ)を比較
- サイズ選びの実務(数値の目安・試着チェック)
- 素材比較で季節と手入れのイメージを固める
- コーデ例&買い方チェックリストで失敗を回避
- お手入れ・保管で“次もすぐ着られる”状態に
ゴールは「買って、すぐ着て、また着たくなる」。そのための具体策だけを厳選してお届けします。
2. まずはこれだけ揃えればOK
着物デビューに向けて、あれこれと道具を揃えるのは大変そうに思えるかもしれません。しかし、実は最初に揃えるべきものはごくわずかです。この章では、着物で外出するために最低限必要なアイテムと、その選び方のポイントを簡潔にご紹介します。
最短で始めるなら“主要3点+小物”を揃えれば気軽に着物姿で出かけられます。
主要3点=長着(着物)/角帯/長襦袢。
小物=腰紐×2・伊達締め×1・足袋・草履(または下駄)・インナー。
入門は洗える素材(ポリ・木綿)中心でOK。
速見表(役割・選び方・相場の目安)
| アイテム | 役割 | 入門の選び方 | 素材のおすすめ | 価格目安* |
| 長着(着物) | 表に見える服本体 | 濃色無地〜細縞、裄が合うもの | ポリエステル or 木綿(洗える)、麻 | リユース 8,000〜15,000円 |
| 角帯 | ウエストに締めて形を保つ | 最初は柔らかめ・無地~細柄 | 木綿 or ポリ、(余裕があれば博多織リユース) | 新品3,000〜6,000円/リユース2,000〜5,000円 |
| 長襦袢 | 肌と長着の間に着る下着 | 半衿付き・洗える表示 | ポリエステル | リユース4,000〜8,000円/新品6,000〜12,000円 |
| 腰紐×2 | 着付けの仮止め | 伸びにくいものを2本 | モス・ポリ | 1本300〜700円 |
| 伊達締め×1 | 胴回りをフラットに保つ | 面ファスナーやゴム入りでも可 | ポリ or メッシュ | 800〜2,000円 |
| 足袋 | 足元を整える(靴下の代わり) | ストレッチ足袋でOK/色は白・黒・紺 | ポリ混・ナイロン・麻 | 1,000〜2,500円 |
| 草履(or下駄) | 履物 | 最初は草履が万能/鼻緒が柔らかいもの | 合皮台+布鼻緒 | 4,000〜10,000円 |
| インナー | 汗取り・肌当たり向上 | Tシャツ+ステテコで代用可 | 吸汗速乾 | 手持ちでOK |
*相場はあくまで目安です。リサイクルやセール、販売チャネルで上下します。
2-1. 各アイテムのポイント
長着(ながぎ)=着物本体

- 役割:外から見える主役。まずは単衣〜袷の通年向けから選びます。
- 色柄:失敗しないのは濃紺・墨黒・深緑・チャコールの無地〜細縞です。帯でおしゃれ感などの変化を出せます。
- 素材:入門はポリエステル(洗濯機OK)か木綿。夏であれば麻。洗濯が楽だと雨や汗を気にせず着回せます。
- サイズの肝は“裄(ゆき)”:手首の骨まで来る±1cmが目安。裄が短いと“借り物感”が出てしまいす。
(着物の裄(ゆき)とは、着物の背中の中心 ”首の付け根” から肩を通り、袖口までの長さを指します) - チェック:肩のテカり・スレ、衿元の黄ばみ、裾の汚れは要チェックです。オンラインでリユース着物を購入する際は、商品説明と写真でしっかり確認しましょう。
(良心的なサイトはこれらの欠点があればきちんと指摘しています)
角帯(かくおび)
- 役割:胴回りを締め、着姿をスッキリ見せるものです。
- 幅・硬さ:入門は柔らかめが結びやすい。幅は一般的なもので約9〜10cmです。
- 色:濃茶・からし・渋赤・藍は万能。長着が濃色なら帯は少し明るめに。
- 結び:まずは貝の口を覚えれば十分です。

長襦袢(ながじゅばん)
肌襦袢の上、着物の下に着る和装用の下着(下着的インナー)という位置づけです。
- 役割:汗を吸い、衿元の白(半衿)をつくる“下地”。
- 半衿:最初は半衿付きを選ぶと迷いません。外観の清潔感は半衿で決まります。
- 素材:洗えるポリ一択でOK。透け防止にやや濃色の本体+白半衿が扱いやすいので初心者にはお勧めです。
腰紐×2/伊達締め×1
伊達締めは「着物や長襦袢の上から巻いて、着崩れや衿の浮きを防ぐための幅広の帯状の紐」です。
腰紐は「着物や長襦袢を体に密着させて仮留めし、基本の形を作るための細い紐」です。
- 役割:腰紐で仮固定→伊達締めで胴をフラットにして着崩れ防止。
- 本数:腰紐は2本あると安心。伊達締めは1本でOK(夏はメッシュが快適)。
- 代替:腰紐1+コーリンベルト1(ゴム製)でも可。入門は「扱いやすさ重視」で。
足袋

足袋(たび)とは、靴下のような役割を持つ和服用の下着です。
- サイズ:普段の靴サイズ相当でOK。甲高の方は0.5cm上を試すと楽です。
- 色:街着は白・黒・紺・グレー自由。色物や柄物はお洒落ですが、やや中・上級者向け。もし迷ったら白か黒が無難ですし、入手も楽です。
- タイプ:入門はストレッチ足袋(コハゼなし)が楽。見た目も充分きれい。
草履(or下駄)
- 選び方:街歩き中心なら草履が万能。台の高さ3〜4cm、鼻緒は足当たりの柔らかさ重視。
- サイズ感:かかとが5〜10mm出るのが“粋”と言われますが、入門はジャスト〜やや長めでもOK。まずは痛くないこと。
- 下駄は?:浴衣〜カジュアルに合いますが長時間は疲れやすいです。まずは草履を推奨。
インナー(肌着・ステテコ)
- 目的:汗取り・摩擦軽減・透け防止。
- 代用:無地のUネックT+ステテコ(吸汗速乾)で十分。衿元から見えない浅V or Uがおすすめ。
- 色:白or薄グレー。黒は透けたときに目立つ場合あり。
- 素材:木綿・麻・ポリエステル・レーヨンなどがあります。季節や着用用途に応じて選ぶと良いでしょう。
あると便利(後から足す)

- 羽織&羽織紐:羽織は一枚足すだけで“きちんと感がでます。秋冬の防寒にも。
- コーリンベルト:着付けが安定。腰紐1本の代用になります。
- 衿芯:長襦袢の半衿に差し込み、衿をシャキッとさせる(半衿一体型なら不要)。
2-2. “最初の買い方”セオリー(予算配分のコツ)
初めての着物購入では、何にどれくらい予算を割くべきか迷うものです。このセクションでは、後悔しない着物選びのために、賢い予算配分の秘訣を具体的に解説します。
- 主要3点に7割、残りを小物へ。
例)3万円なら:長着1.2万/長襦袢6千/帯4千=計2.2万、小物(腰紐・伊達締め・足袋・草履)8千ぐらいが妥当な割合です。 - 小物は新品セットがコスパ良し。
サイズのブレが少なく衛生面も安心。主要3点はリユースで質を上げると満足度が高くなります。 - “洗える表示”を最優先。
家で洗える=着る回数が増える=慣れるのが早い。というメリットを重視します。
2-3. これだけチェック!(購入前チェックリスト)
ここでは、着物購入前に確認すべき重要ポイントをチェックリスト形式でまとめました。後悔しない買い物をするために、一つずつ丁寧に確認しましょう
☐ 用途と季節は?(通年の街着から始める)
☐ 長着の裄は手首まで届く?(±1cm内)
☐ 長着の色は濃色ベーシック?(無地〜細縞)
☐ 長襦袢は半衿付き&洗える?
☐ 帯は柔らかめで苦労なく結べそう?(貝の口練習)
☐ 足袋のサイズは合っている?(ストレッチでOK)
☐ 草履の鼻緒が痛くない?(店なら必ず試し履き)
☐ リユースはシミ・テカり・虫食いを写真で確認した?
☐ 返品条件・送料を確認した?
3. 予算別・入門スターターセット
この章では、着物デビューを検討されている方のために、予算別に「すぐに着て出かけられる」現実的な着物セットを具体的にご紹介します。
3万円、5万円、7~8万円、そして10万円前後の4つの価格帯に分け、それぞれ「洗える素材」と「リサイクル品」「リユース品」を賢く活用した、コストパフォーマンスの高い組み合わせを提案します。
3-1. まずは3万円セット(迷ったらコレ)
狙い:最小コストで“街に着ていける一式”を手に入れることが狙いです。
想定シーズン:通年(単衣〜袷)/雨の日もOK。
セット内容(例)
- 長着(ポリエステル・リサイクル)… ¥8,000〜15,000
- 長襦袢(ポリエステル・半衿付き)… ¥4,000〜8,000
- 角帯(木綿 or ポリ)… ¥3,000〜5,000
- 腰紐×2+伊達締め×1(メッシュ可)… ¥1,500〜2,500
- 足袋(ストレッチ)… ¥1,000〜2,000
- 草履(合皮台+布鼻緒)… ¥5,000〜8,000
合計目安:¥28,500〜40,500(3万円台で十分可)
色合わせテンプレ
- 長着:濃紺/墨黒/チャコール
- 帯:からし/濃茶/渋赤
- 半衿:白(清潔感重視)
ここはケチってOK/NG
- OK:腰紐・伊達締め・足袋(標準品で十分)
- NG:裄が合わない長着(見た目と着心地に大きく影響します)
失敗回避ポイント
- リサイクル長着は肩のテカり・衿の黄ばみを確認しましょう。
- 帯は柔らかめを選ぶ→結び(貝の口)が安定。
次の一手
- 使ってみて楽しいと思えたら:帯1本追加(色違い)でコーデの幅がアップします。

3-2. 5万円セット(快適性と“きちんと感”を両立)
狙い:素材感と履物の快適性を一段上げる。
想定シーン:食事・小さな鑑賞会など“人前”でも安心です。
セット内容(例)
- 長着(上質ポリエステル・未使用〜美品)… ¥15,000〜22,000
- 長襦袢(洗える・半衿替え可)… ¥7,000〜12,000
- 角帯(博多織・リサイクル)… ¥6,000〜10,000
- 小物(腰紐×2・伊達締め)… ¥2,000〜3,000
- 足袋(クッション入り or 立体型)… ¥2,000〜3,000
- 草履(ワンランク上・台や鼻緒がしっかり)… ¥10,000〜15,000
合計目安:¥42,000〜65,000
色合わせテンプレ
- 長着:深緑/濃紺
- 帯:焦げ茶/煤竹色(すすたけ)
- 半衿:白 or 生成り(季節で替える)
アップグレードの意味
- 博多角帯で締め心地と見た目UP(ゆるみにくい)。
博多角帯は、博多織の男物角帯で、「締めやすく緩みにくい」高い機能性と伝統的な美しさが特長です。 - 草履の台と鼻緒の質で疲労が激減→着る頻度が増える。
失敗回避ポイント
- 中古の博多帯(リサイクル品)を買う際は、帯の角に毛羽立ちや擦れがないか確認しましょう。
- 長襦袢は替え半衿対応だとお手入れが楽です。
3-3. 7〜8万円セット(羽織込みで“きちんと”を展開)
狙い:羽織で“完成度”を上げ、応用範囲を広げるのが狙いです。
男性の着物で羽織を加えることで「きちんと感」が出るのは、主に以下の3つの理由からです。
- 礼装的要素: 羽織が持つ格式高い歴史的背景が、洋服のジャケットのように装いを格上げすること。
- 着姿の整頓: 着崩れや帯の乱れを隠し、全体のシルエットをすっきりと見せる効果があること。
- 全体の調和: 羽織の色や柄が着物と一体となり、より洗練された印象を与えられること。
想定シーン:きれいめの食事会・観劇・写真映え。
セット内容(例)
- 長着(上質ポリ・無地〜細縞)… ¥18,000〜25,000
- 羽織(長着と同系色/リサイクル)… ¥10,000〜18,000
- 長襦袢(洗える・やや上質)… ¥10,000〜15,000
- 角帯(博多織)… ¥8,000〜12,000
- 羽織紐 … ¥2,000〜4,000
- 小物(腰紐・伊達締め・足袋)… ¥4,000〜6,000
- 草履(クッション良し)… ¥12,000〜18,000
合計目安:¥64,000〜98,000
色合わせテンプレ
- 長着:墨黒 × 羽織:濃紺 × 帯:からし
- 長着:焦げ茶 × 羽織:オリーブ × 帯:生成り博多
ここがポイント
- 羽織を足すだけで“よそ行き感”が跳ね上がる。
- 同系色グラデでまとめると失敗が少ない。
失敗回避ポイント
- 羽織の裄は長着より+0.5〜1cm長めが見映え良し(手首の露出を抑える)。
- 羽織紐は無地〜極小柄で汎用性UP。
3-4. 10万円前後セット(“定番”を厳選=長く使える)

狙い:“この一式で当分困らない”耐久セット。
想定シーン:幅広い街着〜軽いセミフォーマル相当(※正礼装は別)。
セット内容(例)
- 長着(上質ポリ・無地/細縞)… ¥25,000〜35,000
- 羽織(同格・同系色)… ¥18,000〜28,000
- 長襦袢(高密度・替え半衿2枚付き)… ¥12,000〜18,000
- 角帯(博多織・色違い2本)… 各¥10,000〜15,000
- 小物(良質伊達締め・腰紐・衿芯)… ¥5,000〜7,000
- 草履(鼻緒調整可・台クッション良)… ¥18,000〜25,000
合計目安:¥98,000〜133,000
色合わせテンプレ(“外さない”黄金比)
- ベース:濃紺/墨黒/深緑
- 半衿:生成り or 白
- 帯:焦げ茶とからしの2本運用(季節・TPOで切替)
投資価値のあるポイント
- 草履の当たり(鼻緒調整・台のクッション)
- 帯2本持ちで一年中コーデが回る
- 長襦袢の替え半衿ストックで清潔感キープ
季節別の入替え(予算据え置きで調整)
- 夏(盛夏):長着を麻(苧麻/ラミー)に替える or 薄手ポリ単衣+麻角帯。
ただし麻はシワが出やすい→羽織は基本オフ。 - 冬:長襦袢を起毛・保温インナーに/羽織はやや厚手。
- 雨天:長着はポリエステル一択+防水スプレー。草履は合皮台が楽。
予算別・買い物メモ(持って行くチェックリスト)
- 3万円:裄が合う長着/柔らか帯/草履は痛くない
- 5万円:博多帯(リユース)/草履ワンランク上
- 7〜8万円:羽織同系色/羽織紐の無地
- 10万円:帯2本(濃茶・からし)/替え半衿2枚
4. どこで買う?入手先の選び方
入手先は大きく
①リサイクル・リユース専門店(実店舗)
②オンラインのリサイクル・リユース店(EC)
③フリマ・オークション
の3系統。
それぞれの向き・不向きと失敗しないチェック項目を把握しましょう。
4-1. リサイクル・リユース専門店(実店舗)
試着・相談の安心/価格は中庸
向いている人
- 初めてでサイズ感が不安
- 履物の当たり(鼻緒の痛み)を試したい
- スタッフに相談しながら揃えたい
メリット
- 試着できる:裄の当たり・丈感・帯の結びやすさをその場で確認。
- 状態の実見:テカり・ヤケ・匂い・虫食いの有無を目視&嗅覚でチェック。
- 調整相談:裄出し可否や羽織との色合わせをプロ目線で提案してもらえる。
注意点(ここだけ確認)
- 値札の採寸基準(身丈は“背から”か“肩から”か/裄の表記)
- お直し可否と費用・納期(裄出し・袖丈詰め)
- 返品・取り置き・取り寄せの規定
- 支払い前に全身鏡でバックスタイル(後ろ裾の落ち)まで確認
店での即席チェックリスト
☐ 裄:手首の骨まで来る(±1cm)
☐ 身丈:踵が出ない/階段で踏まない
☐ 前幅+後幅:お腹周りに余裕がある
☐ 衿:黄ばみ・スレ無し/着付けで抜いた時の形がきれい
☐ 臭い:カビ臭・樟脳臭が強すぎないか
☐ 帯:結んでみて緩みにくいか(貝の口)
4-2. オンライン(リサイクル・リユース着物店のEC)
サイズ表が充実/返品規定要確認
向いている人
- 選択肢を広く比較したい
- サイズや条件で絞り込み検索したい
- 返品規定が明確なショップで安心して買いたい
メリット
- 在庫規模が大きく、“裄長め”や“丈長め”など体格に合う個体を探しやすい。
- 商品ページの詳細採寸・多数写真で比較検討できる。
- 返品規定・送料・クリーニング済表示などが明文化されていることが多い。
注意点(ここだけ見落とさない)
- 採寸語句の違い:
- 身丈=背から/肩から?(男性は背からが多い)
- 裄=(後ろ)背中心〜手首の骨まで
- 前幅/後幅の実寸
- 身丈=背から/肩から?(男性は背からが多い)
- 写真の光源で色が変わる:室内灯・自然光・フラッシュの違いを説明で確認。
- 返品条件:到着後○日以内/タグ外し不可/匂い・色味相違は対象か。
- 送料:複数購入で同梱可? 返品時の片道負担は?
問い合わせテンプレ(コピペ可)
① 裄の実寸(背中心~手首)何cmでしょうか?
② 前幅/後幅、袖幅、袖丈を再確認いただけますか?
③ 生地のテカり・ヤケ・匂いはありますか?(あれば箇所の写真をお願いしたいです)
④ 表示は洗濯機可でしょうか?タグ写真があれば見たいです。
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4-3. フリマアプリ・オークション(個人間)
掘り出し物/採寸・状態の自己判断が必須
向いている人
- 相場観があり、自己判断で掘り出し物を狙いたい
- 少しの手間とリスクを価格で許容できる
メリット
- 価格が最安帯になりやすい/未使用品の放出も。
- 博多帯や羽織など一点物の出会いがある。
リスクと回避策
- 採寸ミス:出品者に「裄=背中心〜手首」の計測を依頼(肩幅+袖幅の合計でもOK)。
- 状態不一致:光沢・擦れ・虫食いはクローズアップ写真をお願い。
- 返品不可:説明に無い重大な欠陥は撮影・メッセージでエビデンス化し、プラットフォームの規約に沿って申請。
- 評価前に検品:到着後すぐ開梱→臭い・シミ・サイズ再計測→問題があれば評価せずすぐに出品者に相談しましょう。出品者がプロの場合、「着物はそのようなものである」といったニュアンスで済ませようという人もいますが、納得いくまで話すことが大切です。
こう書くと伝わる(メッセージ例)
・裄は「背中心から手首の骨まで」で何cmでしょうか?肩幅と袖幅の内訳も分かると助かります。
・生地表面にテカりやスレはありますか?右肩・裾のクローズアップ写真をお願いできますか。
4-4. セット販売の賢い活用法
小物は新品セット、主要3点はリサイクル・リユースで
- 主要3点(長着・長襦袢・帯)はリサイクル・リユースで質重視、
小物(腰紐・伊達締め・足袋)は新品セットで清潔&時短。 - 「帯+羽織紐」や「足袋+腰紐+伊達締め」のスターターセットはコスパよし。
- 履物は試し履き推奨:ネット購入時はサイズ交換可の表記を優先。
例:3万円台で“時短”カート
- リサイクル・リユース長着(濃紺ポリ・裄70前後)…12,000円
- リサイクル・リユース長襦袢(半衿付き)…6,000円
- 新品角帯(綿)…3,500円
- 小物新品セット(腰紐2/伊達締め1/足袋)…3,000円
- 草履(合皮台)…6,000円
→ 計30,500円(送料別)
4-5. 返品規定とトラブル防止のコツ
- 到着後48時間ルール:多くのショップが「到着後○日以内連絡」を条件に。
受け取り後すぐ開梱→採寸再確認・試着(室内)・写真記録をしましょう。 - タグ・付属は外さない:合わなければ未使用状態で連絡。
- 色味相違は証明が難しい→素材名・カラーネームを事前確認し、自然光写真を依頼。
- におい問題:主観差が大きい。商品説明に記載がない場合のみ交渉余地。
- クリーニング表示:洗えるか不明な場合は家庭洗濯しない(返品不可になるため)。
4-6. 初心者が間違えやすいポイント(回避メモ)
- “作務衣風”や“浴衣風”を着物と混同してしまう:街着用の長着(着物)を選ぶこと。浴衣は基本夏用・素足に下駄向きです。
- 女性物を誤購入:男性物は身幅(前幅+後幅)が広く、袖丈は約49cmが多い。柄・衿の打ち合わせも確認しましょう。
- 素材の勘違い:ポリエステル=テカテカではないこと。マット調のポリエステルも多い。商品説明の混率と織りをチェックしましょう。
- “サイズ合わないけど安いからOK”は禁物:裄優先の原則を守る。
前編のまとめ
前編では、3万円から始めるリサイクル・リユース着物ライフの準備と基礎知識を網羅しました。まずは「必要最小限のアイテム」を把握し、予算に応じたセット構成、そして安心できる購入先の選び方を押さえることが、着物デビューを成功させる鍵です。
続く中編では、いよいよ実践的な着物選びの核心へと踏み込みます。「失敗しないサイズ選び」に始まり、あなたに似合う色柄、普段使いに最適な素材、そしてシーン別の着こなし方まで、具体的なステップを詳しく解説します。どうぞお楽しみに!
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