リユース着物 たんす屋

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2025年06月23日

初心者でも失敗しない麻の着物|涼しさ・選び方・洗い方まで徹底解説

麻の着物トップ画像上布

うだるような真夏の街。涼しげに歩く人が少ないなかで、ふと目に留まるさらりと風をはらむ着物姿――。実はその秘密は「麻」にあります。

年齢を重ねるごとに体温調節が苦手になってきた、汗ジミが気になって白い服を避けがち…そんな大人女性こそ、吸湿・速乾に優れ、しかも自宅で手洗いできる麻の着物を味方にしませんか? 本記事では、麻素材の基礎知識から産地別の魅力、涼しさをさらに底上げする「麻の襦袢」活用術まで、初心者でも明日から役立つ情報を丁寧にガイドします。

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目次

はじめに
1. 麻ってどんな素材?
 1-1. 麻繊維の基本と歴史
    1-2. 代表的な産地と文化的価値
2. 夏を快適にする5つの機能
 2-1. さらっと涼しい通気性
 2-2. 吸湿・速乾で汗ジミ知らず
 2-3. シボとシャリ感が生む心地よさ
 2-4. 自宅で手洗いOKの気軽さ
 2-5. ナチュラルで清涼感ある見た目
3. 他素材と徹底比較!
4. 初心者でも失敗しない麻の着物選び
  4-1. 仕立て上がり vs 反物 
  4-2. 体型・ライフスタイル別おすすめデザイン
  4-3. 合わせる帯と小物のポイント
  4-4. 夏をもっと快適にする「麻の襦袢」という選択肢
5. お手入れ&保管のコツ
6. コーディネート実例(シーン別)
  6-1. 週末ランチ:木綿帯でカジュアルに
  6-2. 夕涼みイベント:麻帯で涼感アップ
  6-3. ちょっと改まった食事会:絽の名古屋帯で上品に
7. まとめと次の一歩
 7−1. 今日のポイント
  7-2. まず何をすればいい?
  7-3. もっと深く楽しむために

はじめに ― 麻の着物で、夏をもっと軽やかに

暑い季節になると「涼しくて、しかも上品に見える服がないかな?」と悩みませんか?
そんな大人女性にこそおすすめしたいのが、麻(リネン)の着物です。

なぜ“麻の着物”が注目されているの?

  • 驚くほど涼しい通気性
    麻は繊維に“ハリ”があり、肌との間に自然なすき間が生まれます。そこを風が抜けるので、同じ夏着物でも涼しさが段違い。
  • 汗をかいてもサッと乾く
    吸湿性+速乾性が高いので、蒸し暑い日でもベタつきにくく快適。
  • おうちで手洗いできる気軽さ
    絹の着物はクリーニング必須ですが、麻なら基本的に自宅でやさしく手洗い OK。
    ※後ほど手順を詳しく解説します。
  • 伝統工芸としての価値
    新潟の小千谷縮・越後上布、石川の能登上布、沖縄の宮古上布や八重山上布など、国や県の無形文化財に指定された織物も多くあります。

    単なる“涼しい着物”を超えた、文化と歴史をまとう楽しさがあるのです。

この記事でわかること

  1. 麻という素材の魅力と、代表的な産地ごとの特徴
  2. “汗ジミ知らず”を叶える麻着物の機能性
  3. 木綿・絹・化繊との徹底比較で、自分に合う一枚を選ぶコツ
  4. 麻の襦袢を取り入れて、さらに涼しく着こなす方法
  5. 洗濯・アイロン・保管のポイントまで、初心者でも実践できるお手入れ術
  6. シーン別コーディネート実例で、今日から真似できるスタイリング

「まだ着物はハードルが高い…」という方も大丈夫。
基本の選び方から具体的なコーデまで、写真を思い浮かべられるくらい丁寧にお伝えします。

1. 麻ってどんな素材?

1-1. 麻繊維の基本と歴史

  • 植物の茎から採れるセルロース繊維
    日本で着物に使う麻は主に苧麻(ちょま/ラミー)。繊維がやや硬くハリがあるため、肌離れが良く風抜けが抜群です。
  • 縄文時代から続く“涼”の知恵
    出土した縄文布に麻が含まれるほど歴史は古く、江戸時代には藩によって、上布は租税・献上品として重用されていました。夏の正装=麻が当たり前でした。
苧麻の葉
野生の苧麻(チョマ、カラムシ)TABITAIKENより

1-2. 代表的な産地と文化的価値

産地特徴文化指定
小千谷縮(新潟)強撚糸によるシボ(凹凸)でシャリ感が際立つ。雪晒しで生まれる真っ白な地色も魅力。
https://www.city.ojiya.niigata.jp/site/kanko/ojiyachijimi.html
国の重要無形文化財・UNESCO無形文化遺産(2009)
越後上布(新潟)手績み手織りで極細糸。透けるほど薄く、軽さは“東洋のレース”。
https://www.city.minamiuonuma.niigata.jp/docs/2294.html
同上
能登上布(石川)麻糸を藍で染め分けた絣(かすり)柄。さらりとした風合いと藍の深みで“粋”を演出。
https://notojofu.com/
石川県無形文化財
宮古上布(沖縄)手績み苧麻糸の絣文様を「ドゥジン」と呼ばれる澱粉糊で固めながら織る。ガラスのような光沢。
宮古上布
宮古島市伝統工芸品センター
国の重要無形文化財
八重山
上布
(沖縄)
苧麻の硬い繊維が布面に微細な隙間を生み、汗を瞬時に拡散。海晒しで生まれる澄んだ白と、伸びやかな柄行きが特徴。
みね屋工房
国の重要無形文化財

雪晒しのイメージ
小説「雪国」にも登場する雪晒し(中⽥屋織物ホームページより)

八重山上布の海晒し(やいまタイムより)

どの上布も“雪晒し”や“海晒し”など自然を生かした仕上げで、視覚的にも涼しさが宿ります。

残念なことに、ラミーは低農薬で栽培できる一方、手績み手織り産地では担い手不足が深刻化しています。持続可能な供給体制が今後維持できるか心配なところです。

2. 夏を快適にする 5 つの機能

2-1. さらっと涼しい「通気性」

糸にハリ(硬さ)があることで 生地が肌に張り付かずに自然なすき間 ができます。ここを風が通り抜けることで、歩くたびに熱気が逃げてクールダウン。

感覚的には 綿浴衣よりかなり風通し ともいわれ、真昼のアスファルトでも驚くほど軽やかです。

実際、東京の炎天下でも麻の襦袢ときもので、全身に風通しの心地良さを感じることがしばしばです。

2-2. 吸湿・速乾で「汗ジミ知らず」

麻は綿よりも吸水スピードが速く、吸い取った汗をすぐに拡散。さらに繊維表面がサラサラしているため 気化(乾燥)も早い のが特長です。

洗濯後の部屋干しでも短時間で触れる程度に乾くので、湿度が高い日本の夏に最適。汗ジミやべたつきが少なく、外出先でも気持ちよく過ごせます。

2-3. シボとシャリ感が生む「心地よさ」

小千谷縮など強撚糸(きょうねんし)で織った麻布には、シボ(細かな凹凸) が現れます。この凸凹が点で肌に触れるため接触面積が少なく、着ていることを忘れるほどの軽快さ。

独特の シャリッとした感触 は、汗ばんだ肌にもまとわりつかず、扇子でひとあおぎするだけで涼風を感じられます。

2-4. 自宅で手洗い OK の「気軽さ」

絹の夏着物はクリーニング推奨ですが、麻なら 洗面ボウルに中性洗剤を溶かして軽く押し洗い → すすぎ → タオルで水分を挟み取り → 物干しへ で完了。

シミも落ちやすく、翌朝にはもう乾いている手軽さが魅力です。忙しい平日でもお手入れのハードルが低いので、ワードローブに「実用着物」を増やしたい人にぴったり。

2-5. ナチュラルで清涼感ある「見た目」

麻糸にはわずかな節(フシ)があり、それが ほのかなムラ感(スラブ) となって陰影を生みます。淡い生成りや藍・墨色など落ち着いたトーンが多く、見た目に涼やか。

透け感のある上布なら、日差しを受けて ガラスのような光沢 がほのかにきらめき、浴衣とはひと味違う大人の上質感を演出できます。

麻の織機
麻の織機

3. 他素材と徹底比較!

麻(リネン)木綿(コットン)絹(シルク)化繊(ポリエステルなど)
涼しさ・通気性★★★★★繊維にハリがあり風が抜ける★★★★☆柔らかいが通気性は高め★★★☆☆紗(しゃ)・絽(ろ)の生地なら涼しい★★☆☆☆通気性は低め
肌ざわりシャリ感・硬めまとわりつかない柔らかく肌なじみ◎つるりと滑らかで上品種類により差が大きい
洗いやすさ手洗いで OK乾きが速い洗濯機可が多い水洗い不可(要専門ケア)家庭で簡単に洗える
TPO・見た目ナチュラル・涼感重視大人のカジュアル〜街着カジュアル浴衣感覚フォーマル度高い上質な場向き柄が多彩・プチプラ浴衣やイベント向き
伝統・価値重要無形文化財の上布あり普段着中心フォーマル着物の王道伝統性は特になし

比較ポイントをやさしく解説

  1. 涼しさ・通気性
    • 麻は“すき間”が生まれる構造で、歩くたびに熱が逃げます。
    • 木綿も優秀ですが、汗をかくとやや張り付きやすい。
    • 絹は紗・絽など「透ける織り」なら涼しいものの、価格とケア難度がアップ。
    • 化繊は熱をこもらせがち。ただし軽くてシワになりにくいメリットも。
  2. 肌ざわり
    • シャリ感が苦手な敏感肌さんは、襦袢を木綿にするなどで調節可。
    • 木綿はパジャマのようにやさしい触感。
    • 絹は滑らかで“とろん”と肌に沿い、フォーマルシーンで映えます。
  3. 洗いやすさ & お手入れコスト
    • 麻と木綿は「自宅ケア派」の強い味方。速乾なので連日着る人にも◎
    • 絹はシミ抜きや汗抜きが必須。コストも時間もかかります。
    • 化繊は丸洗い楽々。ただ静電気やムレ対策に気を配りたいところ。
  4. TPO(着る場面)
    • 麻…街歩き・カフェ・夏祭りなどカジュアル寄り。帯次第で軽い会食にも。
    • 木綿…浴衣感覚で週末のリラックスシーン。
    • 絹…結婚式のゲストや格式あるお茶会など“きちんと感”が必要な場。
    • 化繊…洗える着物として旅行やイベントで活躍。
  5. 伝統・価値
    • 上布クラスの麻は“工芸品をまとう”という喜びがあります。
    • 木綿・化繊は手頃で入門しやすい。
    • 絹は昔から「晴れの日」の正装として重宝される特別感。

結論: 涼しさ × お手入れのラクさ を重視するなら、やはり麻が頭ひとつ抜けています。
「大人の上質カジュアル」で夏を快適に過ごしたい方には最適な選択肢と言えるでしょう。

小千谷縮のきもの
小千谷縮の魅力はその透け感とシボ

4. 初心者でも失敗しない麻の着物選び

4-1. 仕立て上がり vs 反物 ─ どちらを買う?

項目仕立て上がり(プレタ)反物+誂え(あつらえ)
メリット価格が手頃(数万円から)/すぐ着られる/試着でサイズ感を確認できる自分の体型にフィット/色柄・仕立て方を自由に選べる/仕立て上がりより長く着られる
注意点身丈・裄(ゆき)が合わないと着姿が崩れやすい仕立て代・納期がかかる/反物の幅(約38 cm)が狭いと大柄さんは要確認/上布クラスになるととても高価になります(例:数十万円〜数百万円)。また、為替・職人減少により近年値上がり傾向が続いているのは残念なことです。

初めての一枚なら「仕立て上がり」を店舗で試着するのが安心。着付け教室で着回したい人や、体に合わせて長く愛用したい人は反物から誂えると満足度が高いです。

4-2. 体型・ライフスタイル別おすすめデザイン

こんな人柄・色の選び方理由
身長が高い(165 cm〜)ストライプ・縦絣(たてがすり)縦ラインが強調され、すらりと見える
小柄で華奢小花や細い格子・淡色柄が主張しすぎず、軽やかな印象
アクティブに動きたい(子育て・旅行)中〜濃色の無地/細かい絣汚れやシワが目立ちにくい
汗かきでべたつきが気になるシボの強い小千谷縮/能登上布凹凸が肌離れを良くし、汗を感じにくい

帯合わせの基本

  • 木綿帯(半幅帯)…軽くて結びやすい。週末ランチや街歩きに。
  • 麻帯(羅・八寸名古屋)…通気性抜群で“揺れる透け感”が夏らしい。
  • 絽の名古屋帯…少し改まったレストランや観劇に。光沢が上品。

4-3. 小物で差がつく!コーデのポイント

小物おすすめ素材ワンポイント
帯締め絹または夏組み(レーヨン×和紙)細めで涼やか。淡色系で抜け感を
帯揚げ絽縮緬(ろちりめん)襟元に透ける質感をプラス
草履畳表 × 麻鼻緒足裏が蒸れにくく長時間歩いても快適
バッグ籠(かご)+巾着ナチュラル素材で統一感を

色合わせのコツ

  • 麻着物が生成り・藍・墨色など静かな色調 → 帯や小物で 1 色だけ“差し色”を入れると洗練度アップ。
  • 迷ったら「帯より 1 トーン明るい帯締め」を選ぶとまとまりやすい。

4-4. 夏をもっと快適にする「麻の襦袢」という選択肢

■ 襦袢(じゅばん)とは?

着物の下に着るインナー衣。汗や皮脂を受け止め、着物本体を汚れから守る役割があります。

素材通気性吸湿速乾洗いやすさ特徴
麻襦袢★★★★★★★★★★手洗い可シャリ感でベタつかない
絹襦袢★★★☆☆★★☆☆☆専門ケアとろみがありフォーマル向き
化繊襦袢★★☆☆☆★★☆☆☆洗濯機可シワになりにくいがムレやすい
▸ 麻襦袢を選ぶメリット
  1. 究極の涼しさ:下着まで麻なら、肌側の熱が一気に放出。
  2. 速乾で衛生的:汗をかいても30 分ほどで乾き、ニオイ残りが少ない。
  3. 家庭でケア:着物同様に押し洗い→陰干しで OK。
▸ 洗い方&乾かし方のコツ
  1. 30 ℃以下のぬるま湯+中性洗剤 を使い、押し洗い 3 分。
  2. すすぎ後、厚手タオルでパンパンと水分を吸い取る
  3. 形を整えて 和装ハンガーに掛け、風通しの良い室内で陰干し。直射日光は変色の原因になるので注意。

Point
選択するほど汚れていない場合は、お風呂場でさっとシャワーを掛けて汗を流す程度で十分です。ただし、シャワーはお湯にしないで水のままで使用しましょう。

 麻襦袢は多少シワがあっても、着物を重ねると伸びるのでアイロンは基本不要。気になる場合は 中温で軽く蒸気を当てる 程度で十分です。

ただ、どうしてもシワが気になるようでしたら、ハンガーに吊るし軽く霧吹きをしてシワの部分を軽く引っ張ると取れますので試してください。

ここまでで「自分に合った麻の着物と襦袢をどう選ぶか」がわかりましたでしょうか。


続く 5. お手入れ&保管のコツ では、買ったあとに長く愛用するための実践テクニックを詳しく解説します。

5. お手入れ&保管のコツ

暑い季節に大活躍する麻の着物ですが、正しいケアをすれば数十年は着られる丈夫さも魅力です。ここでは初心者でも迷わない 「洗う・干す・アイロン・しまう」 の4ステップを詳しく解説します。

5-1. 基本の手洗い手順

手順やり方ワンポイント
① 前準備ファスナー付き洗濯ネットにたたんで入れる型くずれ・擦れ防止
② 洗う30 ℃以下のぬるま湯に中性洗剤を溶かし、押し洗いを3 分こすらず“沈めて持ち上げる”動作で汚れを浮かす
③ すすぐきれいな水で2回ほど押しすすぎ洗剤残りは黄変の原因
④ 脱水バスタオルで挟み、軽くパンパンと水分を吸い取る脱水機はシワの元。使うなら10秒程度の短時間
⑤ 干す和装ハンガーで形を整え、陰干し直射日光は退色のもと。扇風機の風を当てると更に速乾

時間の目安: 洗い始めから干し終わりまで15分程度。乾きは早く、夏なら30〜60分でほぼ乾燥します。

■ 部分汚れ・シミが付いたら

  1. 早めに流水で叩き出す。
  2. 落ちない場合は台所用中性洗剤を綿棒でトントン → ぬるま湯で軽くすすぎ。
  3. 色柄物は目立たない所で色落ちテストを忘れずに。

5-2. アイロン&シワ取りのコツ

シワの状態ベストな対処
軽いシワ霧吹き+手アイロン(手で伸ばす)で十分
強いシワ/衿元中温(140〜160 ℃)スチームなし で裏側から当て布をしてプレス
全体のパリッと感を出したい完全乾燥前(8割乾き)に低〜中温で軽くアイロン

ポイント

  • 乾き切った後に高温スチームを当てるとテカリが出るので要注意。
  • シボの強い小千谷縮などはアイロンを当てすぎると凹凸がつぶれるため、シワが気になる部分だけに限定しましょう。

5-3. シーズンオフの保管方法

  1. 虫干し(陰干し)をして湿気を抜く
    • 秋晴れの乾燥した日に30分ほど風通し。
  2. たとう紙に包み、防虫香を添えてたんすの上段へ
    • 床に近いほど湿気が上がるので、高い位置が安心。
  3. 半年に一度は点検
    • シミ・カビ・色移りを早期発見できる。

防虫剤は「同種・同じ香り」を1箱に1つが基本。混ぜると化学反応でシミになる恐れがあります。

5-4. ワンランク上の長持ちテクニック

テクニック効果
着用は2日連続で避ける繊維の戻り(回復)時間を確保。型崩れ・汗残りを防止
衿裏にガーゼを一枚縫い付けるファンデ汚れをブロック。取り外して洗えば着物本体を守れる
汗取りパッドを脇に貼る多汗さんの汗ジミ対策。市販の洋服用で代用可

これで 「洗ったその日から気持ちよく、来年も変わらず美しい」 麻着物のケアはばっちり。次章では、実際のシーン別スタイリングを写真が目に浮かぶようにご紹介します。

6. コーディネート実例(シーン別)

「麻の着物って、結局どんな場面で着られるの?」という疑問にお応えするべく、街歩きから軽いお呼ばれまで3つのシーンを想定し、帯・小物合わせまでトータルコーデをご提案します。

写真がなくてもイメージできるよう、色彩や質感を具体的に描写しました。ぜひ着付け教室やショップで“脳内コーデ”を再現してみてください。

6-1. 週末ランチ:木綿帯でカジュアルに

アイテム選び方のポイント具体例
麻着物小千谷縮・生成りベースに薄グレーの細縞軽やかなストライプでスタイルアップ
帯(半幅)綿オックス・藍の絣風プリント結びやすく洗濯機 OK、動きの多いカフェでも安心
帯締めレーヨン組紐・珊瑚ピンク細丸“差し色”で可愛らしさをひとさじ
帯揚げ省略(半幅帯なので不要)
草履カジュアル畳表 × 白麻鼻緒長時間歩いても蒸れにくい
バッグ籠+藍染め巾着ナチュラル素材で季節感統一

ワンポイント:
半幅帯はリボン結びにすると甘くなりがち。30 代以上なら「貝の口」「割角出し」などコンパクトな結びで大人っぽく。

6-2. 夕涼みイベント:麻帯で涼感アップ

アイテム選び方のポイント具体例
麻着物能登上布・藍地に白抜きの絣藍×白のコントラストが夜風に映えます
帯(八寸名古屋)羅織(らおり)麻・薄鼠(うすねず)×銀糸透け感で“風が通る帯”を演出
帯締め絹レース組・水色きらりと光を拾う涼しげカラー
帯揚げ絽縮緬・薄藤色着物と帯の橋渡し役で淡いグラデーション
草履本革台 × 麻鼻緒(銀鼠)夜でも足元が映える微光沢
バッグガラスビーズのがま口屋台の灯りにキラキラ反射して視線集中

ワンポイント:
透ける帯+帯締めのレース組は“見た目の温度”をグッと下げる組み合わせ。髪をゆるめのシニヨンにまとめ、帯留め代わりに小さなブローチを添えると浴衣との差別化も◎。

6-3. ちょっと改まった食事会:絽の名古屋帯で上品に

アイテム選び方のポイント具体例
麻着物宮古上布・淡鼠に極小十字絣“東洋のオーガンジー”と称される艶で格上げ
帯(名古屋)絽塩瀬・薄練色(うすねりいろ)に霞取り金糸透け感+控えめな金糸でフォーマル感をプラス
帯締め正絹ゆるぎ組・利休茶着物と帯を穏やかに結ぶ濃淡
帯揚げ絽縮緬・抹茶色衿元の陰影に深みを与える
草履本革台(利休茶)× 絹組鼻緒トータルカラーをリンク
バッグ博多織クラッチ・生成り和×洋ミックスでレストランにも馴染む

ワンポイント:
グレー系の宮古上布は光を含むとほのかに銀色に輝くため、帯や小物は “マット質感+ニュアンスカラー” を選ぶと着物の光沢が活きます。衿元は絽の半衿で清潔感を忘れずに。

■ コーデ上達3ヵ条

  1. 「色数は3以内」— 着物・帯・小物でメインカラーを最大3色に抑えると洗練された印象に。
  2. 質感のコントラストを意識— 透ける麻 × マットな木綿帯/光沢絽帯 × ざらり麻着物など、手触りの違いを楽しむ。
  3. 季節の小物で遊ぶ— 帯留めにガラス細工、扇子に柿渋染め、かんざしに真鍮など、素材感で季節を語ると一気に“通”の雰囲気。

以上でシーン別コーディネートの実例をご紹介しました。


次章 7. まとめと次の一歩 では、今回学んだことをおさらいしつつ、試着会やレンタル活用のヒントをお届けします。

7. まとめと次の一歩

7-1. 今日のポイント

  1. 涼しさと速乾性なら麻が最強 ― シャリ感で肌離れが良く、汗をかいてもすぐ乾く。
  2. 自宅ケアでコスパ◎ ― 押し洗い+陰干しで OK。翌日にはまた着られる軽快さ。
  3. 伝統工芸をまとう喜び ― 小千谷縮・越後上布・能登上布・宮古上布・八重山上布……織りの個性と歴史を感じる“上質カジュアル”。

7-2. まず何をすればいい?

ステップやることコツ
① 情報収集好きな色・柄を Pinterest やインスタで保存「#小千谷縮コーデ」「#上布帯合わせ」など和装タグを活用
② 試着会へ行く呉服店・百貨店の夏きものフェア着付けサービス付きの日なら、動いてみて通気性を体感
③ ワークショップ参加麻の襦袢の洗い方講座・帯結び講座洗濯実演や半幅帯の変わり結びを学べる
④ レンタルでお試し週末に 1 日レンタル → 写真で振り返り気に入ったら同系統の色柄を購入判断材料に
⑤ 購入 & 誂え仕立て上がりで 1 枚 → 気に入れば反物にも挑戦反物は納期が 1〜2 か月。夏本番に間に合わせるなら春に発注

Tip: 最近はオンライン呉服店でも「自宅試着キット」や「仕立て前の簡易羽織りチェック」を用意しているところが増えています。忙しい方は活用してみてください。

7-3. もっと深く楽しむために

  • 産地を旅してみる
    小千谷・十日町(新潟)や宮古島(沖縄)では工房見学や雪晒し体験ツアーが人気。織りの音や染料の香りを五感で味わうと愛着が倍増します。
  • 着付け+カメラ講座に参加
    プロに帯結びを整えてもらい、照明下で写真を撮れば“客観的な着姿”がわかります。自分に似合う色や帯位置の発見に◎。
  • SNSで #麻着物チャレンジ
    コーデ写真を投稿すると、和装好きからフィードバックがもらえモチベーション維持に。

7-4. さいごに

「暑いから着物は無理」――その常識を、麻がひっくり返してくれます。


ひとたび袖を通せば、風をまとうような涼しさと、工芸品を日常に取り入れる高揚感にきっと驚くはず。


今年の夏は、ぜひ麻の着物で軽やかな街歩きを楽しんでみましょう!

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