リユース着物 たんす屋

column

2025年06月13日

着物でたどる江戸文化:蔦屋重三郎の時代背景とともに

富岳三十六景「五百らかん寺さざゐどう」

現在放送中のNHK大河ドラマ『べらぼう』、ご覧になっていますか? 主人公は、江戸時代の出版文化を支えた名プロデューサーの蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう)

彼が手がけた浮世絵や書物は、当時の流行や文化を映し出すものでした。そして、その中には 江戸時代の着物文化 も色濃く反映されています。

『べらぼう』の世界を楽しみながら、当時の町人や武士、芸者たちがどのような着物を身にまとっていたのか気になった方も多いのではないでしょうか? そんな 江戸時代の着物現代の着物 は、一体どのように違うのか。

かつては日常着だった着物が、今では特別な衣装になった理由や、現代ならではの楽しみ方を交えて、詳しく解説していきます! 『べらぼう』の世界に想いを馳せながら、一緒に着物の魅力を探ってみましょう。


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目次

はじめに

1. 江戸時代の着物ってどんなもの?
 1-1. 素材とデザイン  
 1-2. どんなふうに着ていた?  
2. 現代の着物はどう変わった?
 2-1.  素材の進化  
 2-2.  着るシーンが変わった  
 2-3. コーディネートの自由度アップ!  
3. 江戸時代と現代の着物を比べてみると…?
4. これからの着物の未来は?
 4-1. 着物×サステナブル
 4-2. グローバル化の影響
 4-3. もっと気軽に楽しめる着物へ
5. まとめ:変わるものと変わらないもの
  5-1. 変わったこと
  5-2. 変わらないこと
 おわりに

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はじめに

着物は、日本の伝統的な衣服として長い歴史を持っています。江戸時代には日常着として広く着られていましたが、現代ではフォーマルな場面や特別な日だけに着ることが多くなりました。

でも、着物の魅力は昔も今も変わりません。伝統的な技術が受け継がれる一方で、着付けが簡単なアイテムやモダンなデザインが登場し、時代に合わせた進化を遂げています。

この記事では、江戸時代の着物と現代の着物の違いを比較しながら、その魅力や未来について わかりやすく解説していきます!

1. 江戸時代の着物ってどんなもの?

江戸時代の人々にとって、着物はまさに「ふだん着」でした。でも、身分や職業によって素材やデザインに違いがあります。

1-1. 素材とデザイン

武士の着物は、身分や場面によって細かく規定されていました。これらの規定は、幕府や藩によって異なっていた場合もあります。また、上級武士とそれ以外の中級・下級武士では大きな差があったようです。

ちなみに、山田洋次監督が藤沢周平の原作を映画化した「たそがれ清兵衛」(2002年)「隠し剣 鬼の爪」(2004年)「武士の一分」(2006年)などで描かれる、地方の小藩の下級武士の暮らしぶりがうかがえます。武士と言えども決して贅沢な着物を着ていたわけではなく、庶民と変わらない質素な生活ぶりであったようです。

一方、江戸時代の町人や百姓(農民)など庶民の着物事情は、時代区分や都市・地方の違いによって大きく異なっていました。

「たそがれ清兵衛」 原作:藤沢周平 監督:山田洋次 キャスト:真田広之、宮沢りえ
「隠し剣 鬼の爪」 藤沢周平原作 原作:藤沢周平 監督:山田洋次 キャスト:永瀬正敏、松たか子
「武士の一分」 藤沢周平原作 原作:藤沢周平 監督:山田洋次 キャスト:木村拓哉、檀れい

 上級武士 (大名など)
高級な絹織物や、特定の紋様が許されていました。格式を重んじた渋めの色合い(藍、茶、黒など)が用いられ、儀式や公式な場では正装としての「裃(かみしも)」という上下セットでした。

裃は、肩衣(かたぎぬ)、袴(はかま)から構成され、家紋が入っていました。また、特定の柄の着物を着用することも重要でした。

 中級・下級武士
木綿や麻などの素材が中心でした。色や柄も比較的制限があり、質素なものが多かったようです。

 武家の女性
武家の女性も、身分や場面によって着用する着物が異なりました。上級武士の女性は、豪華な打掛(うちかけ)や、華やかな柄の着物を着用することが許されました

雪の真土山 鳥居清長

雪の真土山 鳥居清長

 江戸初期の庶民
まだ経済力が十分ではなく、質素な小袖が主流でした。武家に奉公した娘がもらった小袖を晴着とするなど、武家文化の影響を受けつつも、幕府は奢侈禁止令で絹や華やかな色・文様の使用を制限していました。

町人の経済力が高まると、武家の小袖を真似て贅沢な装いを目指す動きが現れますが、幕府は禁令で規制しました。

 江戸時代中期の庶民
江戸時代中期には奢侈禁止令により庶民の絹着用は原則禁じられました。ただ、都市部の裕福な町人層は裏地や夜着など人目に付きにくい部分にこっそり絹を使う例も多く、規制と逸脱が共存していました。

色も紫や紅梅色など高貴な色は使えず、質素な衣服が義務付けられていました。帯や半襟にも絹使用が禁止され、身分による格差が明確でした。


東京国立博物館特別展
「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」の展示

 江戸時代後期の庶民
経済が発展するにつれて、小袖の模様や製作技術はより多彩になり、華やかな装いが庶民の間に浸透していきました。

しかし、幕府は奢侈禁止令を何度も出して、身分制度を守ろうとしていました。この時代には帯の存在感が増し、美しく装飾された帯が人気を集めました。衣服の素材は相変わらず木綿や麻が中心で、絹については特別な許可を得なければ使うことができませんでした。

特に注目すべきは、大河ドラマ「べらぼう」でも今後取り上げられると思われますが、松平定信が推進した寛政の改革において、一般庶民に対しても贅沢や無駄遣いが厳格に禁じられたことです。

人々には質素な暮らしを送ることが要求され、着物の材質や色彩だけでなく、装飾品、そして日用品の購入に至るまで、あらゆる面で細かな制限が設けられました。

農村地域では古い着物を再利用することが多く、慎ましい生活が営まれていました。

一方、都市部では小袖の種類がさらに豊富になり、縞柄や小紋、唐獅子といった様々な模様が好まれました。幕府による規制は継続していましたが、町人たちは創意工夫を重ねて、独特のファッション文化を築き上げていきました。

浴衣の普及など、日常生活に適した衣服も広まりました。地方においては今までと同様に木綿や麻が主流で、大きな変化は起こりませんでした。衣服の簡素さは保たれ、身分による区別も続いていました。

風流花之香遊・萩寺
風流花之香遊・萩寺 喜多川歌麿

1-2. どんなふうに着ていた?

ほとんどの人が、着物を仕立て直しながら長く着ていました。庶民の着物は数が少なく、普段着が1着しかない人も珍しくなかったため、破れたりほつれたりしてもほどいて仕立て直し、継ぎ当てをしながら何度も再利用していました。

また、季節ごとに裏地や綿を入れたり外したりして、一枚の着物を夏と冬で使い分ける工夫もしていました。子どもができれば、古い着物を子ども用に仕立て直したり、おむつや雑巾などにリメイクすることも日常的でした。


豪華な着物は禁止されていたけど、ちょっとした工夫でおしゃれを楽しんでいました。幕府による奢侈禁止令で、派手な色や模様、絹地の着物は庶民には原則として着用できず、身分による規制が厳しかったのです。

そのような厳しい規制の範囲内で町人や百姓たちは、縞や小紋など控えめな柄や、裏地や襦袢の色合い、小物の選び方でセンスを競い合うこともありました。

特に江戸の町では、歌舞伎役者などが流行をリードし、帯結びや小物で個性をアピールする「粋」な美意識が発達していました。

男性の羽織は武家礼装として始まり、町人男性にも広まった。女性の羽織は18世紀後半から流行し、都市では日常的な上着としても着用された。外に出るときは「羽織(はおり)」を着たり、帯の結び方で個性を出していました。

また、帯の結び方には「文庫結び」や「お太鼓結び」など多彩なバリエーションがあり、若者や女性が結び方や小物で自己表現を楽しみました。

古着屋や仕立て直し職人も街中に多く、庶民は古着を活用しながらも、帯や小物などにこだわっておしゃれを楽しむ知恵と工夫が光っていました。

注:『お太鼓結び』は文化14年(1817)に深川芸者が考案したと伝わり、江戸末期に姿を現しますが、一般女性へ広まったのは明治40年前後です。したがって江戸前期・中期の町人女性が日常的に締めていたわけではありません。

喜多川歌麿「日傘を差す女」

喜多川歌麿 ”針仕事 東京国立博物館所蔵

上の画像の喜多川歌麿(蔦重が活躍した時代の人)が描いた浮世絵(注)ですが、町人女性にとって針仕事は必須スキルでした。家族や奉公人の着物を縫ったり直したりするだけでなく、裁縫の技術は女性の教養の一つとされていました。こうした生活の知恵や工夫が、江戸時代の庶民の豊かな着物文化を支えていたのです。

注:喜多川歌麿は遊女や花魁などの絵をたくさん描いていますが、ここに描写される女性の服装・髪型・所作にも遊女や武家の女性に典型的な要素は見られず、子供をあやしながら裁縫に励む姿は町人階級の主婦像そのものだということです。mag.japaaan.comcreativepark.canon

区分都市(町人)地方(農民)
素材絹・紬・木綿(身分や時期により許可)木綿・麻(絹は原則禁止)
色・文様華やかな色・文様が流行(禁令あり)素朴な色・文様のみ
華やかな帯が流行木綿や麻の帯が主流
規制奢侈禁止令で規制されるが、工夫して独自の文化発展厳格な規制が維持される
流行小袖の多様化、浴衣の登場変化が少ない

2. 現代の着物はどう変わった?

現代では、着物を日常的に着る人は少なくなりました。でも、その分 自由な着こなし が広がっています!

2-1.  素材の進化

  • ポリエステル素材の着物 が登場!洗濯しやすく、シワになりにくいので初心者でも安心。
  • デニム着物やニット着物 など、洋服感覚で着られるデザインも人気。

2-2.  着るシーンが変わった

  • 成人式や結婚式、卒業式、観劇などのお出かけ、パーティー、茶道や華道などの習い事など特別な日に着ることがほとんど。
  • でも最近は、観光地でのレンタル着物やカフェ巡りなど、気軽に楽しむ人も増えている!
  • 「カジュアル着物」というスタイルも広まり、ジーンズ感覚で楽しめる着物が登場。

2-3. コーディネートの自由度アップ!

  • スニーカーやブーツと合わせるのがトレンド。
  • 帯の代わりにベルトを使うなど、アレンジ自在!
  • 着付けが簡単な「作り帯」や「ワンタッチ着物」も登場している。

3. 江戸時代と現代の着物を比べてみると…?

項目江戸時代現代
素材絹・木綿・麻が主流ポリエステル・デニムなど新素材が登場
着る頻度毎日着るのが当たり前特別な日に着ることが多い
おしゃれの仕方限られたデザインの中で粋を楽しむ自由なコーディネートが可能
価格・入手方法反物を仕立てて着る(高価)既製品のプレタ着物やリサイクル着物も豊富
着付け自分で着るのが基本簡単な着付けアイテムが増えている

4. これからの着物の未来は?

現代の着物文化は、伝統を守りつつ 新しいスタイルを取り入れながら進化 しています。

現代の着物文化は、長きにわたり受け継がれてきた伝統的な美意識や技術を尊重しながらも、現代のライフスタイルや価値観に合わせた新しいデザインや着こなし方を柔軟に取り入れ、常に進化し続けていくことでしょう。

古典的な柄や素材、仕立ての技術を継承しつつ、現代のファッションやアートのトレンドを反映した革新的なデザインが登場するなど、伝統と革新が融合した多様なスタイルが見られます。

また、着物を通して自己表現を楽しむ人が増え、カジュアルな着こなしや洋服とのミックススタイルなど、自由な発想で着物を楽しむ文化が広がっていると言えそうです。

4-1.  着物×サステナブル

  • 着物は「長く着られる」エコな服!リサイクルやリメイク文化も広がっています。
  • 古着の着物をアップサイクルして、バッグや小物にする動きも人気。

4-2. グローバル化の影響

  • 海外でも「KIMONO」は注目されていて、外国人の着物愛好家も増えている!
  • 日本の伝統文化として、世界に発信される機会が増えそう。

4-3. もっと気軽に楽しめる着物へ

  • SNSで「#着物コーデ」が流行し、若い世代にも広まっている。
  • 着付けのハードルを下げるアイテムがどんどん登場し、普段着としての着物が復活するかも?

5. まとめ:変わるものと変わらないもの

5-1. 変わったこと

  • 素材やデザインが多様化し、自由な着こなしができるようになった!
  • 特別な日の衣装としての着物が主流になった。
  • 洗濯や着付けがラクになり、初心者でも挑戦しやすくなった。

5-2.  変わらないこと

  • 着物は日本の美しさや文化を象徴する存在!
  • 伝統的な技法や職人の技は、今も大切に受け継がれている。
  • 着る人の個性やセンスを表現できるファッションアイテムであり続けている。

おわりに 

江戸時代と現代の着物を比べてみると、変わった部分もあれば、昔から大切にされている部分もありますね。

もし「着物を着てみたいけど難しそう…」と思っているなら、まずはレンタルやカジュアル着物から試してみるのもアリ!着付けが簡単なタイプも増えているので、思ったより気軽に楽しめるかもしれません✨

日本の伝統文化としての着物が、これからもたくさんの人に愛され、進化していくのが楽しみですね!


💡 あなたはどんな着物を着てみたいですか?

カジュアルなデニム着物? それとも伝統的な友禅染め?

コメントで教えてもらえたら嬉しいです😊🎶

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