リユース着物 たんす屋

column

2021年08月08日

シーラ・クリフの -元気・笑顔・着物-(第2回 浴衣)

浴衣は涼しくていけてる

着物研究家のシーラ・クリフです。

皆さんは「夏」の季節で好きなことって何ですか? 西瓜? 花火? それとも海水浴? 私のお気に入りの1つは、もちろん「浴衣」を着ること。浴衣は<涼しい>という意味のクールだけではなく、本当にクール(いけてる)でしょ。

「浴衣」って、とてもシンプルな綿の和服なんですが、多くは白地に藍色で染め抜かれていて、見た目もフレッシュ感があって素敵です。それに、浴衣は簡単に結ぶことのできる半幅帯を用いるから、着物の入り口としても最適なんですね。

そんな浴衣には、歴史的にみても、とても興味深いものがあります…

浴衣のルーツは銭湯にあり

日本は、江戸時代初期まで綿花の生産をしていませんでした。だからヨーロッパ人がインドとインドネシアの綿を商船に積んできたものを輸入していました。当時の日本人にとって綿にはすごく魅力を感じたものの、とても高額なもの。それが、江戸中期から後期にかけて国産綿花が大量生産されるようになり、ようやく価格が下がって庶民の手に届くものになりました。

時同くして、何千人もの人々が新しい首都である江戸に移り住むようになると、そこでお風呂文化が育まれます。とにかく家々が密集していたものですから、個人が内風呂など持つと火災の危険性は増すばかり。これらの解消として、江戸のあちらこちらに公衆浴場「銭湯」が増えていきました。

人々が銭湯に集まるようになると、必然的に最新情報が集まり、論議をし、うわさ話が飛び交う、いわゆる最先端の社交の場となります。このようにして、シャレた浴衣で銭湯に通うのが庶民の楽しみとなっていきました。

染色方法の変化にも注目ですよ

精密な型紙を用いて布の表裏を染める藍染の木綿浴衣地が、長板中形(ながいたちゅうがた)です。職人たちは、おどろくような熟練の技で繊細な模様をこさえます。こうした技術は長い年月を経て、籠染め(かごそめ)そして注染そめ(ちゅうせんそめ)へと変化していきました。現在はというと、浴衣の大部分はデジタル印刷ですが、注染そめは健在ですし、絞り浴衣もポピュラーです。夏の夜は爽やかで涼しげでないとね。

浴衣を着ることは、日本の夏にとって自然の喜びですよね。お出かけするときに「どの浴衣を着ようかな」などとお気に入りの浴衣を選ぶ。これがとても楽しいんです。私もいまは個人の範囲で浴衣を楽しむくらいですが、来年はお祭りやお盆の行事、そしてビーチにも着て行けるといいなと思っています。

よかったら、たんす屋さんの浴衣もご覧になってください。そして、あなたの夏をエンジョイしてね。

ENJOY YOUR SUMMER!

English

Tansu-Ya Blog 2. August 2021.

What are your favourite things about summer? Watermelon, fireworks and going to the beach? One of my favourite things is wearing yukata. Yukata are not only cool, they look really cool too. They are a simple cotton robe, often just dyed in indigo and white. It is a fresh and beautiful look. They are usually worn with a half-width obi, and that is simple to tie, so yukata wearing is a great entry-point for kimono wearing. Actually, yukata have an interesting history, too.

Japan didn’t produce cotton until the beginning of the Edo period. Before that cotton was a very expensive, imported product. Europeans brought Indian and Indonesian cottons in trading ships and Japanese were fascinated with the patterns, but they were very expensive. By the mid to late Edo period domestic cotton was being produced in large quantities and the price had come down so that people could buy it. Around the same time thousands of people were moving into Edo, the new capital, and a culture of bathing grew up. The solution to cramped living conditions and the constant danger of fires breaking out, was to have bath houses around Edo. People gathered at the bath houses and shared news, views and gossip. People began to enjoy going to the bathhouse in stylish yukata.

Nagaitachuugata (ながいた中型) were dyed in indigo, with beautiful stencils pasted on the back and front of the cloth. The artisans were incredibly skilled and made wonderful, fine patterns. Over the years the techniques changed from nagaita chuugata to kagozome and then chuusen zome. Chuusen zome is still being produced, but the majority of yukata are now digitally printed. Shibori yukata remain popular and look cool and fresh on a summer evening. Wearing yukata is a simple pleasure of the Japanese summer. I am looking forward to the time when I will be able to look at my yukata and choose which one I want to wear. Now I just wear it for my own pleasure but next year I hope that we can wear it on the beach, to festivals and to bon odori. Please have a look at Tansu Ya yukata, and enjoy your summer.

Q&Aコーナー:ちょっと聞かせてシーラさん2

着物大好きシーラ・クリフさんに、ちょっとした質問に答えてもらうコーナーです。

【Q】日本でお気に入りの場所はどこですか?

丹後が好きですね。織物の産地というだけではなく、自然が美しいんですもの。海も綺麗ですし。仙台や軽井沢も素晴らしいです。

【Q】日本語を覚えるのは大変でしたか? 一番難しいと思うのは何ですか?

あまり勉強はしていませんが、おしゃべりをして、興味ある話をして、あとは自転車でいろいろな場所に行って覚えました。難しいのは書くことですね。

【Q】着物の専門用語はどのように覚えたのですか?

専門用語は着付学院で覚えました。

【Q】尺貫法の換算は難しくないですか?

難しいのでメートル法で考えています。

【Q】お着物を頻繁に着用しておられますが、お手入れはどうされていますか?

着た後はしっかり干して、それから正しく畳むようにしています。もちろん、大切な着物ですから、シミができてしまったときは、ちゃんとクリーニングに出してますよ。

ありがとうございました。

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シーラ・クリフさんProfile

イギリス出身の着物研究家・着付師・着付け講師。1985年に来日し、着物文化の伝道師として活躍。ビジュアル書籍『SHEILA KIMONO STYLE』(かもめの本棚) の出版や、テレビ・CMの出演により人気上昇中の文化人。たんす屋の催事イベント内のトークショーにもたびたび出演していただいており、毎回好評を博している。

SHEILA KIMONO STYLE

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