リユース着物 たんす屋

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2025年06月27日

帯の種類と結び方をマスターして、どんなシーンも着物映え!実例付きガイド

帯のコーディネートイメージ

着物コーディネートの印象を大きく左右する「帯」。その種類や結び方、色柄の選び方をマスターすれば、同じ着物でもシーンに応じて無限の表情が楽しめます。

本記事では、帯の基礎知識からフォーマル度、季節感を活かす柄選び、配色テクニック、結び方のバリエーション、小物使い、そして実際のコーディネート例やメンテナンス法までを網羅。初心者から着物上級者まで、“帯を主役にした”着こなしがすぐに実践できる充実のガイドです。


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目次

1.はじめに
2.帯の基本知識:種類と特徴
 2-1. 素材による違い
 2-2. 幅・長さの目安
 2-3. 最初の一本なら
3.帯の柄と季節感
 3-1. 四季の代表的モチーフ
 3-2. 通年使える吉祥柄(きっしょうがら)
 3-3. 配色で演出する“落ち着き”
 3-4. 初心者向け・失敗しない柄選び3カ条
4.色合わせのコツ:着物×帯のカラーコーディネート
 4-1. 同系色コーデ:上質なワントーンで“統一美”
 4-2.補色コーデ:視線を惹きつける“コントラスト”
 4-3. 挿し色コーデ:ネイル感覚で“ひとさじ”の鮮度アップ
 4-4. トーン&彩度コントロールで印象を操る
 4-5. 初心者向け!迷ったときの“安全パターン”3選
5.帯結びバリエーションと帯揚げ・帯締め使い
 5-1. お太鼓結び(いちばんベーシック)
 5-2. 二重太鼓(フォーマル対応)
 5-3. 角出し(粋カジュアル)
 5-4. 半幅帯のリボン結び(遊び心)
 5-5. 帯揚げ&帯締めを味方につける
 5-6. まとめ:結び方+小物で“自分らしさ”が完成
6.シーン別コーディネート実例
 6-1. Before / After:帯チェンジでここまで変わる!
 6-2. TPO早見チャート
 6-3. 小物まで含めた“シーン別ワンポイント”
7.帯のメンテナンスと保管方法
 7-1.  着用後のルーティンケア
 7-2. 正しいたたみ方と収納
 7-3. 湿気・虫害対策
 7-4. クリーニングのタイミングと注意点
 7-5. 長持ちのコツまとめ
8.まとめ

1. はじめに

帯が決め手――着物コーディネートの“主役”

着物姿を目にしたとき、最も視線を集めるのは“帯”と言われます。着物自体がシンプルな無地でも、帯の色柄や結び方ひとつで印象は大きく変化します。

たとえば、繊細な古典柄の袋帯なら上品で華やかなフォーマルスタイルに、軽やかな半幅帯ならリラックスしたカジュアルテイストに。帯はまさにコーディネート全体の“表情”を決める鍵となります。

着物慣れした方とこれから始める方、それぞれの帯選び

  • 着物慣れした方へ
    既に着物を何枚もお持ちなら、帯の“格”や“柄合わせ”を活かして着回しを広げる時期。手持ちの着物に不足するテイストを補う帯を選ぶと、ワードローブの幅が一気に広がります。
  • これから始める方へ
    まずは扱いやすい素材と、合わせやすいベーシックな色柄を選びましょう。万能な帯を一本手に入れておくと、着付けの練習にも最適ですし、さまざまなシーンで活躍します。

本記事で得られること

  1. 主要な帯の種類とフォーマル度(TPO)
  2. 季節感と柄の選び方
  3. 失敗しない色合わせのテクニック
  4. 結び方・小物使いで差をつける方法
  5. シーン別のリアルなコーディネート例
  6. 長く愛用するためのメンテナンス術

帯を“主役”に据えたコーディネートをマスターすれば、同じ着物でも無限の表情が楽しめます。さっそく帯の世界へ踏み込んでみましょう。

2. 帯の基本知識:種類と特徴

帯の種類フォーマル度*代表的な長さ/幅特徴とおすすめシーン
袋帯(ふくろおび)★★★約440 cm/31 cm最も格が高く、留袖・訪問着などの礼装に。金銀糸や華やかな織り柄が多い。二重太鼓に結ぶのが一般的。
名古屋帯(なごやおび)★★☆約360 cm/30 cm普段着から準礼装まで幅広く使える万能帯です。胴に巻く部分が半幅に畳まれており軽く、扱いやすい。お太鼓結びが定番。
京袋帯(きょうふくろおび)★★☆約380 cm/31 cm名古屋帯と袋帯の中間。柄出しが豪華で、ちょっと改まったお出かけに便利。軽量なので長時間でも疲れにくいのが特徴。
半幅帯(はんはばおび)★☆☆約400 cm/15 cmカジュアル専用。浴衣や小紋と好相性です。リボン系や角出し風など、遊び心ある結び方も豊富。初心者の練習用にも最適です。
兵児帯(へこおび)★☆☆約380 cm/40 cm柔らかい布をくしゅっと巻くリラックス帯。モダンな着こなしや旅行、カフェ巡りに。結び方が簡単で締め心地も楽。

*★の数が多いほどフォーマル度が高い

2-1. 素材による違い

  • :しなやかな質感と高級感。フォーマル・準礼装に最適です。
  • 綿/麻:通気性が良く、汗ばむ季節やカジュアルシーンで重宝します。
  • ポリエステル:シワになりにくく、雨の日や旅行向け。洗濯可能な物も。

2-2. 幅・長さの目安

  • 胴回り+余り布(60〜80 cm)が巻ける長さが基準。
  • 幅は結び方で決まるボリューム感に直結します。帯結びのシルエットをイメージして選ぶと失敗しにくいといわれます。

2-3. 最初の一本なら

最初の一本なら、万能な帯として、素材の選択肢の広さ、カジュアルからフォーマルまで対応できる汎用性などから名古屋帯のベーシックな無地〜小柄タイプがお勧めです。以下に詳細な理由を述べておきます。

  • 多くの着物と合わせやすい: カジュアルな小紋から、少し改まった色無地や江戸小紋まで、幅広い着物に合わせることができます。
  • フォーマル度の調整がしやすい: 帯締めや帯揚げなどの小物使いによって、お出かけからちょっとしたお呼ばれまで対応できます。
  • 着回し力抜群: 一本持っていると、様々なシーンで活躍するため、最初に買う帯として最適です。
  • 扱いやすい: 袋帯に比べて長さが短く、結びやすいのが特徴です。

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3. 帯の柄と季節感


帯は「柄(がら)」で季節感と個性を語るアイテム。季節ごとのモチーフを取り入れると、見る人にさりげなく旬を届けられます。

3-1. 四季の代表的モチーフ

季節主なモチーフ印象合わせやすい着物
桜・藤・蝶・若草華やかで柔らかパステル色の無地/小紋
流水・朝顔・金魚・鉄線涼やかで軽やか絽・紗の薄物
紅葉・菊・萩・銀杏落ち着きと深み江戸小紋・紬
雪輪・南天・椿・松竹梅端正で格調高い縮緬・訪問着

ワンポイント

  • 季節モチーフを帯に取り入れたら、着物は無地か控えめな小柄にするとバランス良好。
  • 同じ季節でも色合いを変えると印象がガラリと変わる(例:春でもくすみピンクなら大人っぽく)。
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3-2. 通年使える吉祥柄(きっしょうがら)

吉祥柄は「長寿・繁栄・幸福」などの願いが込められたおめでたい意匠のことです。季節を問わず使えるうえ、フォーマル度も高めです。

柄名意味
亀甲(きっこう)長寿六角形が連続する幾何学模様
七宝(しっぽう)縁起の良い円満円が重なる連続模様
唐草(からくさ)永続的な繁栄つる草が絡む曲線
宝尽くし(たからづくし)富と幸運打ち出の小槌・巻物などを散らす

活用術
吉祥柄はフォーマル帯によく用いられるため、留袖や訪問着と合わせると礼装らしい格調が生まれます。反対に、小紋や紬と合わせて“格のミックス”を楽しむのも上級テクニックです。

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3-3. 配色で演出する“落ち着き”

柄選びに迷ったときは、色味で調整するとうまくいきます。

  • 淡色+ワントーン落ち着き配色
    • 例:生成り地に灰桜(はいざくら)や薄藤(うすふじ)
    • 柄が大きくても主張しすぎず、着物の色を選びません。
  • 濃色+メタリックアクセント
    • 例:墨黒×金糸の亀甲
    • 夜の会食やフォーマルシーンに映えるシックな華やぎ感が醸されます。
  • ニュアンスカラー同士の重ね
    • 例:青磁色の小紋 × スモーキーグリーンの流水柄帯
    • トーンが近いと視覚的な統一感が高まり、“こなれ感”が出ます。

3-4. 初心者向け・失敗しない柄選び3カ条

  1. 「季節か通年」どちらかを決める
    • 迷ったら通年吉祥柄が安全。季節柄は“月を先取り”するのが粋です。
  2. 着物より大柄 or 小柄、どちらかに振る
    • 大柄の着物には小柄帯、小柄の着物には大柄帯でリズム感を出すのが良いでしょう。
  3. 差し色は1色まで
    • 帯・帯揚げ・帯締めで差し色を合計1色に抑えるとまとまりやすいでしょう。

4. 色合わせのコツ:着物×帯のカラーコーディネート

帯選びで最も悩ましいのが「色合わせ」。ここでは配色理論を着物コーデに落とし込み、失敗しないコツを具体例付きで解説します。

4-1. 同系色コーデ:上質なワントーンで“統一美”

着物効果
錫色(すずいろ)の江戸小紋グレージュの唐草名古屋帯落ち着きと奥行き
藤鼠(ふじねず)の無地紬灰藤色の雪輪袋帯ほのかな甘さと気品
  • ポイント
    • 色相を合わせ、明度や彩度でわずかに差をつけると立体感が出る。
    • 小物(帯揚げ・帯締め)は同系の濃淡でグラデーションを作るとよりエレガント。

4-2 .補色コーデ:視線を惹きつける“コントラスト”

着物効果
深緑の紬朱赤の七宝柄名古屋帯モダンでメリハリ
藤紫の小紋鞠絵の黄橙袋帯華やかな大人可愛さ
  • ポイント
    • 補色関係は派手になりやすいので、どちらかをくすみカラーにすると上品。
    • 小物は着物か帯のどちらかと同色にして、色数を抑えるとバランス◎。

4-3. 挿し色コーデ:ネイル感覚で“ひとさじ”の鮮度アップ

ベース2色+挿し色1色が黄金比。

例:

  • ベース…藍鼠(着物)+灰桜(帯)
  • 挿し色…翡翠色の帯締め
  • ポイント
    1. ベースは低彩度でまとめ、挿し色に高彩度カラーを一点だけ。
    2. 挿し色は帯締め・帯揚げ・半衿など小面積にとどめると洗練される。

4-4. トーン&彩度コントロールで印象を操る

印象着物×帯のトーン設定具体例
フォーマル高明度×中〜高彩度白地の訪問着 × 淡金袋帯
シック低明度×低彩度鉄紺の紬 × 錫色の名古屋帯
軽やか中明度×中彩度若苗色の小紋 × 生成りに若草の半幅帯
  • トーンをそろえると穏やかに、ずらすと動きが出る。
  • 質感(絹の光沢・紬の節など)も“色の見え方”に影響。光沢が強いほど彩度が高く感じられる。

4-5. 初心者向け!迷ったときの“安全パターン”3選

  1. 薄ベージュの名古屋帯は万能
    • ほとんどすべての色相の着物と調和し、柄入りでも主張が強すぎないので、迷ったらこれを選ぶと良いでしょう。
  2. 生成り×墨黒のモノトーン
    • どんな差し色も受け止めるベースとなるため、小物で季節感を加えるだけで様々な印象を楽しめます。小物で季節感を足せばお洒落度アップ。
  3. くすみパステル+グレー帯
    • くすみ色は、現代的な照明の下でも浮くことなく、自然な光の下での写真映えにも非常に強いという特徴があります。落ち着いた色合いですが、顔色を美しく見せ、品格と洗練された印象を与えてくれます。

5. 帯結びバリエーションと帯揚げ・帯締め使い

この章では代表的な帯結び4種を用途別に解説し、仕上げを左右する帯揚げ・帯締めのコーデ術までを網羅します。

5-1. お太鼓結び(一重太鼓)

お太鼓結び

お太鼓結びには「一重太鼓」と「二重太鼓」の2種類があります。一重太鼓は名古屋帯を使ってカジュアルや略礼装に用い、二重太鼓は袋帯を使ってフォーマルや慶事に用いる、より格式の高い結び方です。

項目内容
向くシーン観劇・会食など幅広い外出
必要な帯名古屋帯、京袋帯(軽量で扱いやすい)
結びの特徴背中に四角い「箱」を作り、下辺にタレが下がるクラシックな形。体に沿って安定するので長時間でも楽。
ひとことメモ結び目が厚くならないよう、帯の手先を斜めに折り込むと背中がすっきり。

5-2. 二重太鼓(フォーマル対応)

項目内容
向くシーン結婚式・茶席・改まったパーティー
必要な帯袋帯(長さが必要)
結びの特徴お太鼓を二段重ねにして格式をアップ。背中に重厚感が生まれ、金銀糸の帯が映える。
ひとことメモ上段と下段の幅差を2〜3 cmに揃えると端正な印象。帯板を長めに入れると形が崩れにくい。

5-3. 角出し(粋カジュアル)

角だし結びと変わり角出し結び(婦人画報社「浴衣の帯結び」から)
項目内容
向くシーン美術館巡り・街歩き・カフェ
必要な帯名古屋帯、昼夜帯
結びの特徴お太鼓を崩して角(かど)を立たせ、こなれたボリュームを出す結び方。江戸情緒があり、紬や浴衣と好相性。
ひとことメモ角を出し過ぎると野暮ったくなるので、垂直ではなくやや前傾に倒す程度が◎。

5-4. 半幅帯のリボン結び(遊び心)

項目内容
向くシーン浴衣・旅行・カジュアルランチ
必要な帯半幅帯(柔らかめが結びやすい)
結びの特徴大きなリボンで後ろ姿が華やか。帯枕不要で軽く、初心者でも短時間で結べる。
ひとことメモリボン中央を帯締めで軽く押さえると形持ちアップ。帯結びが甘すぎる場合は、シックな色で大人っぽさを。

5-5. 帯揚げ&帯締めを味方につける

  1. 色は「帯と着物の橋渡し」
    • 帯揚げは着物色になじませ、帯締めで差し色を一点投入すると全体が引き締まります。

  2. 素材で季節感を演出
    • 絽や紗の帯揚げは盛夏の涼感アップ。縮緬なら秋冬に柔らかい陰影を出します。

  3. 結び目でフォーマル度を調整
    • 帯締めを「本結び」にすると格が上がり、「花結び」「貝の口」等の変わり結びでカジュアルダウンできます。

  4. 立体感は“山”を高めに
    • 帯揚げは枕上の“山”をしっかり立てると帯結びがふっくら見え、後ろ姿が映えます。

覚えておくと便利なルール

  • フォーマル:帯揚げ・帯締め共に光沢のある絹&金銀糸入りが基本。
  • カジュアル:綿組み・染め分け・房付きなど遊びのあるデザインで個性を。

5-6. まとめ:結び方+小物で“自分らしさ”が完成

同じ着物と帯でも、

  • 結び方(立体のシルエット)
  • 帯揚げ・帯締め(色とテクスチャー)

を変えるだけで印象は自在に操れます。まずはベーシックなお太鼓をマスターし、シーンに合わせてバリエーションを増やすと着物ライフが一段と楽しくなるでしょう。

6.  シーン別コーディネート実例

そんな“化粧直し”のような楽しみ方を、3つのシーンで具体的にご紹介します。

シーン着物帯・結び帯揚げ/帯締めポイント
お出かけ(観劇・美術館)江戸小紋〈藍鼠〉唐草名古屋帯〈生成り×薄金〉/お太鼓灰桜縮緬/青磁色平組トーンを抑えつつ、柄で“静かな華”を。足元はグレーの草履で知的に。
お呼ばれ(結婚式・パーティー)付下げ〈薄梅〉金糸入り袋帯〈牡丹唐草〉/二重太鼓白金絽縮緬/金糸丸組帯の金銀を主役に、着物は淡色ワントーンで引き立てる。帯締めの輝きがフォーマル度を決定づける。
カジュアル(街歩き・カフェ)紬〈千歳茶〉半幅帯〈博多献上柄・白藍×紅〉/リボン結び萌黄綿/生成りワンポイント房付き動きやすさ重視。半幅帯の配色で遊び、帯締めを省いてスッキリと。バッグは帆布トートでこなれ感。

6-1. ビフォー / アフター:帯チェンジでここまで変わる!

ビフォーアフター
コーデ詳細白地小紋 × 灰桜無地名古屋帯(お太鼓)白地小紋 × 墨黒地に金箔袋帯(二重太鼓)
印象穏やかな昼下がりのティータイム夜のホテルディナーにも映える華やかスタイル
ひとこと全体を同系色でまとめ、上品なワントーン。コントラスト強めの帯で一気にドレスアップ。

コツ: 着物を変えずに帯を格上げ→帯揚げ&帯締めも光沢素材にチェンジすると、所要時間10分でドレスコードをクリアできます。

6-2. TPO早見チャート

帯の格使えるシーン着物の種類例
★★★ 袋帯(二重太鼓)結婚式/公式レセプション/茶事正午の席留袖・訪問着・付下げ
★★ 名古屋帯(お太鼓・角出し)観劇/食事会/入学式・卒業式色無地・江戸小紋・紬
★ 半幅帯(リボン・変わり結び)浴衣祭り/街歩き/旅行浴衣・木綿着物・カジュアル紬

6-3. 小物まで含めた“シーン別ワンポイント”

  • フォーマル席
    • 草履:エナメル艶あり+高さ5 cm前後。
    • バッグ:利休バッグや刺繍クラッチで格を揃える。

  • カルチャー系お出かけ
    • 羽織:塵除けの薄羽織で機能とおしゃれを両立。
    • 半衿:市松や小花の半衿でさりげなくテーマ性を。

  • 街歩きカジュアル
    • 帯留め:ガラスや木製で季節感を。
    • アクセサリー:イヤーカフなど洋風小物を一点投入すると写真映えが増します。

帯と結び・小物の組み合わせ次第で、同じ着物が「観劇仕様」→「パーティー仕様」→「カフェ仕様」と自在にスイッチできます。TPOに合わせて“帯でドレスコードを整える”感覚を身につけると、着物ライフの自由度が一気に高まります。

7. 帯のメンテナンスと保管方法

帯は着物以上に“立体的な布づかい”をするため、シワや型崩れが起きやすいアイテム。正しいケアを知っておけば、絹でもポリエステルでも美しい状態を長く保てます。

7-1.  着用後のルーティンケア

ステップ方法目的
1. 陰干し帯を広げ、直射日光の当たらない風通しの良い場所で1~2時間汗・湿気を飛ばし、黄変やカビを防ぐ
2. 軽いブラッシング毛並みの柔らかい洋服ブラシで、表面をさっと撫でるほこり・花粉を除去し、繊維の傷みを予防
3. シワ伸ばし手アイロン(手のひらで軽く押さえる)で大シワを矯正。絹の場合は低温あて布アイロンも可結びジワを残さずフラットに戻す
4. 仮巻き休憩翌日までタオルでゆるく芯棒巻きにし、完全乾燥を確認湿気が抜けるまで“癖”を付けない

NG例

  • ハンガーに掛けたまま放置 → 帯の自重でヨレてしまいます
  • 乾燥機・高温アイロン → 繊維の縮み・艶消しの原因になります

7-2. 正しいたたみ方と収納

  1. “三つ折り”が基本
    • 帯を裏面にして幅を三等分に折り、長さを蛇腹状に。角を合わせ、折り目を手で軽く整える。
  2. たとう紙(畳紙)へ
    • 和紙製たとう紙に包み、吸湿・通気を確保。洋服用不織布より湿気に強いのが特徴。
  3. 収納環境
    • 桐箪笥 or 衣装ケース内に乾燥剤+防虫香を同梱。密閉プラケースは乾燥剤を多めに。
  4. 重ね順
    • 袋帯など重い物を下段に、半幅帯を上段に。柄糸への圧迫を避ける。

7-3. 湿気・虫害対策

対策具体例
吸湿シリカゲル系乾燥剤を“たとう紙の外”に入れる(直接触れさせない)
防虫樟脳・楠チップなど自然系防虫剤で匂い移りを防ぐ。化学防虫剤は帯締め・帯揚げと離して配置。
換気梅雨明け・秋雨明けに月1回は箪笥を開け、帯を軽く陰干しして空気を入れ替える。

7-4. クリーニングのタイミングと注意点

状況目安方法
汗・皮脂が付着盛夏の後など 年1回専門店の丸洗い:帯芯まで洗浄し、プレスで形を復元
食べこぼし/化粧汚れ付いたら 即応部分シミ抜き:早いほど色抜けリスクが減る
型崩れ/折れシワ頻繁使用で 気になるとき帯リフォーム:帯芯入替えでハリ復活(専門店相談)

家庭洗濯は基本NG
絹は水で縮み・色泣きし、ポリエステルでも帯芯が歪む恐れ。洗える表示があっても、必ず“帯用”ネット+弱水流+陰干しとハードル高め。判断に迷ったら悉皆屋さんなどの専門店へ。

7-5. 長持ちのコツまとめ

  • 着用後24時間以内にルーティンケアを完了してください。。
  • たとう紙は2~3年で交換し、吸湿性を維持しましょう。
  • 防虫剤・乾燥剤は同封月数を記入し、取替え時期を見える化しましょう。
  • 古い帯芯は仕立て直しでよみがえる――リメイクも視野に。

帯を丁寧にメンテナンスすれば、祖母から受け継いだ帯を孫世代へ受け渡すことも夢ではありません。“保管”は次のコーディネートを最高の状態で迎えるための準備。今日から実践して、あなたの帯コレクションを守り育てていきましょう。

8. まとめ

帯は「色・柄・素材・結び方・小物」のかけ算で、着物の印象を自在に操る“主役アイテム”。本記事では ——

  1. 帯の種類とフォーマル度を押さえ、TPOに合った一本を選ぶ方法
  2. 季節感と吉祥柄を使い分け、さりげなく旬やお祝いムードを演出するコツ
  3. 配色理論を応用した色合わせで、ワントーン・補色・挿し色のバランスを整えるテクニック
  4. 結び方と帯揚げ・帯締めで立体感と華やぎをプラスするアイデア
  5. シーン別コーデ実例で“帯替えだけ”のスタイルチェンジを体感
  6. メンテナンス&保管術で、お気に入りを長く愛用する方法

-を具体的に解説しました。

次の一歩

  • まずは手持ちの着物に合わせて、万能カラーの名古屋帯を一本選ぶ
  • お太鼓結びを習得し、角出し・二重太鼓などを少しずつ追加
  • 季節モチーフの帯揚げや帯締めで、挿し色の練習を楽しむ

帯を変えるだけで、同じ着物でも「気軽な街歩き」から「格式ある席」まで自在にスイッチできます。今日のコーディネートを昨日より少し洗練させていく。その小さな変化こそ、着物ライフを豊かにする第一歩です。

どうぞ、“帯を主役に据えたコーディネート”で、あなたらしい着物スタイルを思いきり楽しんでください。

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